December 26, 2010

合法の極楽浄土~全裸・混浴ドイツ・スパ初体験~!!

先週は年末恒例の職場の全社会議兼、ホリデイ・パーティーということで、ドイツは旧西ドイツの首都ボンに行ってきました。そのパーティーの席でのこと。現地でのあまりの寒さから、「温泉にでも入りたいねー。」などとドイツ人の同僚と話をしていたところ、有力情報をゲット!なんと、隣街のケルンに温泉があると言うではないですか!!単なる温かいお湯ではなく、天然の温泉が湧いているという話。温泉フリークとしては、行かずして、帰らざるべからず!ということで、長い旅と会議の疲れを癒すべくリラックス感覚で一路その温泉に向かいました。ところがそこでは、リラックスはおろか、数々の温泉を経験してきた私の想像をも遥かに凌駕する未知の世界が待っていたのでした!!

その施設の名はClaudius Therme(クラウディウス・テルメ)。ドイツはケルン中央駅からタクシーに乗ること約20分。広大なラインパーク公園の北の一角にその広大なスパ・サウナ施設はあります。ベルギッシュランド地方およびライン川中域の火山活動などその特異な地理的条件から、ここオーデコロン(ケルンの水の意)発祥の地でもあるケルンの街に豊かな源泉が湧き出ています。

とりわけ海外、特にヨーロッパでの温泉は初めてでした。右も左も分からないまま、楽しみ半分心配半分、とにかく入館です。受付の係の人に、「とにかく初めてなので、何も分からない。手ぶらで何も持って来ていない。」と伝えました。すると、館内での飲食の清算に使用するリストバンドを渡され、タオル、バスローブ、水着の3点セットをレンタル。水着ももれなくついてくるということは、「水着着用必須なんだな」と。ふむふむ、ここまでは慣れた手順といったところ。


受付のすぐ隣にあるプールの更衣室のような、ブースで着替えました。まずは1階のプール・ジャグジーエリアに行きました。老若男女、シングル・カップル、年齢性別を問わず様々な人が、ジャグジーにつかったり、流れるプールで戯れたり・泳いだりとそれぞれに豊かな泉を楽しんでいました。その1階エリアを一通り巡回した後、係員に話を聞くと、「2階にはサウナがあるよ」ということで、道中冷えた体を温めに、上の階に行ってみることに。

階段を上がるとそこには、大きなステンレス製の扉が、まるでその奥のエリアと外界を遮断するかのように大きく立ちはだかっていました。“何かが”ありそうな雰囲気を感じつつその重い扉を開きます。そこは仕切りで区切られた小空間になっていて、周りには小物がおける棚が備え付けてあり、壁には衣類などをかける為と思われるフックがいくつも張り付いていました。「第2の更衣室!?」と感じつつも、分からぬままとりあえずその小空間を抜けました。そこにはなんと、未だ人生で見たことのない、信じがたい光景が眼前に広がったのでした!


プールで戯れる全裸の男女。仲良く裸でジャグジーにつかるカップル。シャワーでクールダウンさせているサウナで発汗した裸体。

物語の世界でしか出会ったことのない、桃源郷の世界が、アダムとイブの世界が、現実の光景として私の眼前に広がっている、その事実。呆然と立ちすくむこと、(決して大げさでなく、感覚的に約)3分。ようやく意識が戻ってくるとともに、水着を着てそこに存在する自分に、逆に恥ずかしさすら感じ始めました。そこで、さっきの第2の更衣室に再び戻り、私も「郷に従う」ことに。水着を脱ぎ捨てるも、捨てきれない羞恥心がバスローブ一枚を纏わせたものの、再びいざ突入。

そこでは、人間を性により分け隔てることはなく、まるで、身にまとった外界の全てを取り除き、真にリラックスした姿で寛ぐ人々。ベンチに身体をあずけて寝そべる者。傍らの足湯で寛ぐ者。バブル・ジャグジーで暖をとる者。最初、あっけにとられてしまった自分を恥ずるくらい、そこには性的な雰囲気など微塵もありません。男女ではなく、人類に近いそんな感覚。次第に目も脳も慣れ、「遠路はるばる来たのだから寛がなくっちゃ」と気持ちも切り替わり、お目当てのサウナに入ってみることに。

扉の内側のこのエリアには、その周囲にいくつもの異なる個室サウナがあります。日本で最もポピュラーなタイプの、階段状の80-90℃のフィンランドサウナ。また、円形タイル張りの、湿度100%、40-50℃のスチームサウナ。変わりどころでは、一見日焼けマシーンのような、ベッド型の機械に横たわり、遠赤外線を浴びるタイプのサウナ(55℃、湿度60%)。別料金ですが、45分の垢すりのような、ボディー・ラビング。どれから入ろうか、迷ってしまうくらいのバラエティー。

とりあえず、広めで既に数人入室している低温サウナに入ってみることに。各サウナの扉の側には必ずフックがかかっていて、皆そこにタオルやバスローブを引っかけて行きます。私も、恥ずかしさとドキドキ感をバスローブと共にフックにかけ置き、いざ入室です。

そこには、既に気持ちよさそうに身体を保湿させた男女が数人、それぞれの体勢で寛いでいます。階段に腰掛けひたすら俯く者。タオルを一面に広げて、寝そべる者。そんな皆に共通しているのは、ドイツ人の気性でしょうか?それとも、真剣にサウナと対峙しているのか?中央の塔から流れ出る流水のせせらぎ以外は、皆、言葉一つ交わさず、静かに沈黙を保ちつつ汗を絞り出しています。初体験の私は、その常連たちのように易々とサウナの境地に至れるわけもありません。というのも、煩悩捨てきれず異性の存在がいやがおうにも気になってしまいます。異性と言っても、そこに佇んでいたのは、異性と呼ぶにはクエスチョンマーク(?)な、見た目50代の老女。敷きタオルの上に、男性の視線など跳ね返すかのように全てを包み隠すことなく、仰向けに寝そべり、目を閉じています。

私の入室前の淡い期待は見事に打ち砕かれ、「そりゃ、そんなもんだよな。若い人なんているはずないよな。」と期待を物語の世界に仕舞い込んだその瞬間!入室してくる二人のシルエットがサウナの扉越しに!

他の人の監視の視線を避けるかのように、私は、とっさ反射的に入口から目線を反らしました。しかし、人間の目とは驚異的です。コンマ何秒のその瞬間でさえ、二人の姿は確実に私の網膜にその像を残しました。サウナに入室してきた二人は、見た目、自分よりもはるかに年下と思われる、初々しさあふれるカップルでした。入室するや否や、彼の方は、「考える人」のように俯き加減で物静かに座るかと思えば、その彼女は、タオルを大きく広げ、近くの木枕を手繰り寄せ、仰向けに体を横たえました。もちろん、その体を覆い隠す、羞恥の心もタオルも何もありません。目のやり場に困ると思いつつ気付けば、私を除く周囲の皆はひたむきにリラクゼーションを追及して汗をかくことに集中しています。その若いカップルも、言葉は一言も交わさず、それぞれ思い思いの体勢で、自らの新陳代謝促進に集中です。初めは視線が泳ぎ、どうして裸の男女が言葉も発することなくこのせまい箱に籠っているのか理解しようと考えを巡らせたのですが、答えなど浮かぶわけもありません。答えを待つより先に、次第に目が、脳が慣れてきたのか、だんだん目の前の光景を事実として受け入れられるようになってきました。恥ずかしさから誘発される汗から、純粋にサウナの熱により誘発される汗へと、次第に変わっていくのでした。

そんな、衝撃的サウナ体験でのぼせた頭を冷やすべく、そのサウナエリアに併設するように、レストランとバーカウンターが併設されています。さすがそのダイニングエリアでは全裸と言う人はさすがにいませんでしたが、デトックス後、バスローブを纏う者、下半身だけタオルを巻く紳士、など、各々思い思いのスタイルで、ドイツ料理とドイツビールを堪能していました。私も、地元のドイツビール1杯2.5ユーロを注文。発汗後の開ききった毛穴に浸みこませるように、ビールを一気に流し込みました。「ぷは~。」

この広大な施設。館内だけでなく、館外にも10種類以上の趣の異なる、離れのロッジのようなサウナや、レストラン施設があり一日中いても全てのサウナを回り切れない程の充実度です。私もできるだけ見て回りたかったのですが、一歩外に出ると氷点下の空気で凍った地面に一分と足裏が持たず、離れまでたどり着くことすらできませんでした。。よく見ると皆サンダルを履いていました。サンダル、忘れずに持参するか、受付でレンタルしましょう。澄んだ空気の冬の夜、外庭からはライン川の対岸に、ライトアップされ黄色く輝くケルン大聖堂の2つの尖塔が、湯けむりの中、綺麗に夜空に浮かび上がっていました。


料金は週末で、2時間、4時間、1日、それぞれ、16.50、22.50、29.50ユーロと日本の高級ラインの日帰り温泉が約3000円であることを考えると、ほぼ同等レベル。(料金的にも施設の充実度的にも、1日ゆっくりした方がお得ですね♪)館内の食事はメインディッシュで約15ユーロといったところなので、やや高めな気もするのですが、きちんと調理され、フォークとナイフで頂く食事がサーブされるという点と、アルコール類の安さから補って余るコストパフォーマンスです。

温泉好きを自称していることもあって、数々の温泉、スパ施設をこれまで経験してきました。しかし、ここまで異文化体験を感じることができた温泉に出会ったことはありませんでした。拙文のあまり、その新鮮な驚きがどの程度お伝えできたか分かりませんが、「百聞は一見に如かず!」ドイツ(ケルン以外にも、ドイツにはバーデンバーデンという有名な温泉街もありますよ!)に足を運ぶ機会があったら、ぜひ温泉の超文化を自ら体験してみてはいかがでしょうか!

参考:
ドイツ観光案内ガイドブック

Those Crazy Germans!: A Lighthearted Guide to Germany
[ドイツスパ事情についての本(特に日本語書籍)はほとんど出版されていない中、
ドイツのスパ・サウナ文化からそこでの立ち居振る舞いについてまで
詳細に解説された稀有なガイドブック(洋書)。
2008年出版ですが、現代においても普遍的なドイツ文化を垣間見ることができ、
読み物としても面白く、ドイツ・スパ初挑戦の前にぜひ一読をお薦めします。]

Claudius Therme Facebook Photos
[館内もちろん写真撮影禁止でしたので、雰囲気はこちらから]

超異文化スパ体験。ドイツ式サウナパラダイス マナー講座
[日本でも情報がほとんどない中、日本人視点で、ドイツスパのマナーや、ケルン郊外のその他のスパも紹介して下さっています]

December 12, 2010

来年こそ、脱、情報の行き違い/迷子!~手帳選びのその前に~


皆さんは、「あなた!今週日曜日は子供の保護者会があるって、前に言ったじゃない!」と妻に責められたことはないでしょうか?
また、「年賀状の宛名を書くのに、xxxxさんからだいぶ前に引越しましたってハガキ来てたけど、あれどこにいったっけー?」と今まさにお悩みの方、多いのではないでしょうか?

私自身もこのような、「ミスコミュニケーション」や「情報の迷子」を今まで数多く経験してきました。これら問題は一見すると症状が異なるのですが、「情報がうまく管理できていない」という同じ原因を共通しています。そんな経験のお陰もあって(^_^;)、いくつか実践に移し、今でもカイゼンを行っている情報管理のやり方を、つながる為と行動する為に分けてご紹介したいと思います。


つながる為の情報 [コンタクト]

つながる為に必要な情報には主に、メールアドレス、電話番号、住所があります。これらの情報はそれほど更新頻度は高くないものの、人数が多いと量も膨らむ情報です。加えて、散在し、散らかりやすい情報でもあります。先の例のように、友人からの住所変更やメールアドレスのアップデート情報も放っておかれるのが大半でないでしょうか?


そこでお薦めなのが、ウェブ上のサービスを利用した連絡先の一元管理です。念を押したいのですが“一元管理”というのが肝です。いろんな所にではなく、一か所に管理するのです。私はGoogleの提供するGmailのコンタクトを使っています。友人から連絡先変更の旨を受けたら、いの一番に必ずこのコンタクトにつっこみます。注意しなくてはいけないのがその手のアップデート情報は携帯メールに来ることが多いのですが、携帯電話に入れるだけでなく、必ず一元管理の場所につっこんで下さい。例えば、その携帯に来たメールをGmailに転送しておいて、後からでもいいのできちんとウェブ上の決まった場所に情報をしまいこむのです。(携帯が対応していて、直接Gmailコンタクトなどウェブ上の連絡先に更新できる場合はそれが一番です。)見落しがちですが、署名を付けてメールを送ってくれた人の署名の情報や、CC付きのメールのCCにあるメールアドレスなども、合わせて突っ込んでおくと、後からメールの山をかき分ける手間が省けます。
ちなみにネタばれですが、知人から出産の連絡を受けたら、その子の名前、生年月日、性別を合わせて記入したり、いつお会いしたかなど、ちょっとした事を個人情報と合わせて記録することにしています。年に1回会う人に毎回、「お譲ちゃん、いくつになりました?」と聞くより「xx(子供の名前)ちゃん今年で3歳、もう幼稚園だね!」の方が、いかに相手の心に響くことか。

ウェブ上で管理すると、インターネット接続の環境さえあれば、どこにいてもその情報にアクセスし確認・更新できることがメリットです。しかし本当のメリットは情報の引越しの手間が省けることと紛失の心配がないという点です。私自身Gmailコンタクトに本格移行する前は、MSアウトルックで連絡先管理していた為、パソコン買い替えのたびにエクスポート、インポートを繰り返す必要がありました。また、データの紛失が怖かった為、定期的な携帯&アウトルックのバックアップにも時間をとられました。(余談ですが、アウトルック以前は、紙小さな手帳のような住所録帳なるものに手書きで書いておりました。時代が感じられますねー。)Yahooやhotmailも同様のサービスがあるので自分の利用しているウェブメールが提供する連絡先管理を利用してみてはいかがでしょうか。

行動の為の情報 [スケジュール]

行動の為の情報、スケジュールについての情報管理です。ビジネスでもプライベートでも予定の急な変更などはよくあること。連絡先ほどは横の広がりを持つわけではないですが、逐次の更新が必要な情報です。スピーディーな情報へのアクセスがキーとなります。スケジュールの更新を怠ったり、後手になったりすると、ダブルブッキングや予定そのものをすっかり忘れるという問題が起こる為、予定が入ったら即座に記録することが重要です。また、予定は自分にだけ影響を及ぼすものとは限らず、他人の予定とも相互に影響することがあります。一緒に何かをする場合とか相手の都合を考慮して自分の予定を調整する必要があります。互いに独立なら事はシンプルですが、そうもいかない場合があります。

このような性質から、スケジュールは2通りの手段で分けて管理することをお薦めします。一つは、自分に関するスケジュールは手帳に記録。インターネット接続の環境がない場所でも手帳は常に持ち歩くことで、真に、場所と時間を選ばずにいつでも予定を漏らさず記録できます。(手帳ならバッテリー切れの心配もないですしね。)やはりここはアナログに頼る部分です。
もう一つは共有の必要のあるスケジュールをウェブ上で管理することです。例えば、冒頭の例にもあるような妻との口約束を見落したといった問題に対しては、即座にその予定を自分の手帳に書き込めばよいのですが、なかなか出来るものではありません。そこで、お互いに予定をオープンにし、公開し、更新し合う必要があります。この場合はウェブでの管理が非常に便利です。但し、一つ注意です。一人で実行しても意味がないので、参加者みんなの協力が不可欠です。「そんな、ウェブのカレンダーにいちいち記録するのは面倒だ!」といった抵抗勢力に対してその必要性を説く必要があります。くどくど、メリットを説明してもたいがい実感を持ってもらえない場合もあるので、その時はアカウントを作ってあげて、まずは始めてみようと半強制的に実行に移してしまいましょう。案ずるより産むがやすしですね。

私の場合、Googleカレンダーを使用しています。共有の必要がある人を自分のカレンダー「マイカレンダー」に追加し、相互に閲覧、更新できるようにします。例えば、年末年始の新幹線のチケットの事前購入など、一人では忘れてしまいそうな予定も二人以上なら誰かが気付いてカレンダーに入れておくことで、確実購入、家族全体が、車両間の立ちっぱなしを免れることが出来るといった具合です。スケジュールの漏れの可能性が低くなるというメリットの他にも、グループ(夫婦間など)で予定を決める必要がある時、お互いの予定をいちいちメールで調整してから、いついつと結論を出すにも時間がかかりがちですが、その工程数と反応時間が格段に改善するという利点もあります。
また、点数を稼ぎたいお父さん方は、記念日なども合わせて記入しておくとよいでしょう、リマインダー付きで!(Googleカレンダーには、事前の希望するタイミングに予定の事前告知をする機能が付いています。携帯のメールアドレスを設定しておけば、予定の事前告知が携帯のメールあてに飛んできます。)


私が高校生だった頃はポケベルが全盛の時代で、当時の流行に疎かった私は、公衆電話のブラインドタッチを極めた友人の発する「724106」*などもろくに解読できずに、自分って情報難民だなーと、幼いながら感じたものでした。それから時代も進み、情報の伝達速度と伝達量が指数的に増えて行くこれからの世の中、できるだけ手間をかけずに、的確なコミュニケーションをとれるよう、使える情報技術はうまく利用したいものですね。(最先端にこだわらずとも、従来の方法が勝ればそれを使い続けるもよし!)


余談:
ちなみに、年賀状を作っていて思ったのですが、年々年賀状が減っている要因の一つの仮説として「住所録の準備・更新に手間がかかる」ということがあるのではないでしょうか?その手間を、年賀状の受け取り主が持つシステムとして、一部Mixiなどが、住所を書く必要がない年賀状といったサービス「ミクシィ年賀状」を提供しています。はたして普及の程はいかに??手間の軽減が必要と言っておいたのですが、ちょっとした手間をかけることで、より気持ちが伝わるという点も忘れてはいけません。
郵便年賀.jpの広告ではありますが、日経ビジネス2010.12.6号でワタミCEO渡辺美樹氏が自身の年賀状の実例を公開していました。彼はその年の夢にまつわるメッセージを手書きで心をこめて書いているそうです。そのような年賀状を貰った側の気持ちは察するまでもないですね。書いてある内容よりもむしろ、そのような多忙を極める人がわざわざ手書きで私の為に一筆くれたという、そのこと自身に心動かされることでしょう。有限な時間。効率的に行うべきところ、それによって生まれた余裕時間を費やし手間をかけるべきところ、見極めていきたいところです。


ちなみに、 *724106=何してる? でした。ちゃんちゃん。

December 5, 2010

お金の話もう一歩踏み込んで、今年の運用総括!

個人投資家の情報発信力が高まる中、普段は飲みの席の話に上ることも少ない投資の話がにわかに話題となることが多くなってきた。ところが、話の内容と言えばどのように資産を管理・運用するかのノウハウと心構え的な話(いわゆるきれいな教科書的話)がほとんどで、肝心の「で、投資のその結果どうなったの?」という問いになると、突然話を持ち出す敷居が高くなる。それにはいくつかの理由が考えられる。

1)個人のお金の核心に触れる話なので、プライバシーの領域である。

幾ら持っている、幾ら儲けたと言った話は、昔からけむたがられる。
そのような話は、聞く側にとっては決して気持ちのいいものではない。また、幾ら損したといった話は、そもそも当人も忘れ去りたい事実である為、闇に葬られる。
結果、そのような話が日の目を見ることはない。
  
2)パフォーマンスの測定はそう単純でない。

実際にきちんとパフォーマンスを測定しようと思うと、奥が深い。
無配当の商品を買いっぱなし、流入・流出無しで持ち続けるのであれば、そのパフォーマンス測定は単純であるが、多くの場合、配当があり、売り買いが起こり、外貨で運用される場合、パフォーマンスはそのタイミング・為替によっても異なる。
計算の仕方によって、リターンの%は大きく異なる。もちろんそれを逆手にとって恣意的にパフォーマンスをよく見せようという悪徳ファンドも存在する。注意が必要である。

3)そもそもパフォーマンスを気にしていない。

例えば、写真研究会の部員でも、写真を撮る事が好きなのではなく、撮影に興味はなくカメラの本体そのものが好きという人がいる。
投資の世界でも同様。結果ありきの投資ではなく、金融商品、投資ノウハウが大好き。でも、結果はあまり気にしないという人も多く存在する。
毎日の市場の上げ下げに一喜一憂するのもどうかと思うが、結果を全く気にかけないというのも損とはなっても得とはならない。

以上の理由から、まだまだ投資の結果についての情報公開は発展途上である。
しかしながら、社会にとって性教育が不可欠なように、きちんと損得を伝える投資結果を含んだお金の話(投資教育)も“施し方”によっては悪ではなく、れっきとした善である。

(予断ではあるが、アメリカ、ヴァージニア州に金融危機の二の舞を避けるため早期の経済教育が必要とのことから、JAファイナンス・パークと呼ばれる子供のための経済を学ぶテーマパークが今年10月にオープンした。金融教育のキッザニアといったところだろうか。アメリカではこのような子供向けの施設が15カ所程作られている。日本においても今年7月に同法益公人ジュニア・アチーブメント日本として登録。施設とまではいかないが、無料の出張授業や様々な教育用プログラムを提供しているようである。今後の活躍と広がりに期待したい!)




明確であるが、私にとって投資はあくまで手段であって目的ではない。(本当に夢のままかもしれないが)いつかお金からの自由を夢見て、地道に資産運用をしていこうという心づもりである。

お金の話をもっと活発にというのなら、“施し方”を考えた上で、結果についても共有する意味はおおいにあると考える。ということで、私自身個人的に四半期ごとに棚卸をしているが、一年の締めである12月1日時点のポートフォリオの配分と主要リスク資産の年換算リターンをまとめてみたのが以下である。


去年の12/1からの一年を総括すると、今年後半は、とりわけ円高が重しとなった一年だった。市場は全体に回復基調ではあるが、極度の円高によりその効果は限定的だった。来年は為替がどう動くのか、それによって、円建て資産と外貨建て資産の配分を考える必要があるだろう。

ちなみに記録として昨年12月1日時点でのポートフォリオ。

 【追伸】
後追いになってしまったが、投信ブロガーなどとはおこがましいが、投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2010に恐れ多くも票を投じさせていただきました。今から結果が楽しみです!

November 14, 2010

幸せ大安売り!資産形成は何の為?

最近重めの内容が続いたので、気楽な感じで。
愛読させていただいているマネックス・ユニバーシティーの内藤忍さんのブログのエントリー「これから考えるべきは、お金の殖やし方よりお金の使い方」
が面白かったので私も一考。

ある幸せを感じるその度合いを“1幸せ”と定義する。

例えば、1回の晩御飯をお腹いっぱい食べる幸せを1幸せとする。
バブルの頃は、見栄を張り高級レストランで晩御飯をお腹いっぱい食べて1万円だった。
1幸せ=1万円。

今は、牛丼大盛り卵付きで500円もあればお腹いっぱいになる。
1幸せ=500円。

極端な例だが、今やたった1/20のお金で同じもの(感情)が手に入ることになる。
今の時代、そんなに昔ほどお金をかけなくともそこそこ幸せになれるということである。

当時の高級シャンパンで味わった満足感と同じ程度の満足感を
比べ物にならない程安い第3のビールで味わえてしまえるわけである。


そう考えると、そんなに沢山のお金は本当に必要なものだろうか?と思ったりもする。
お金はそこそこあればよいのではないか、という思いが頭をよぎる。じゃ、お金よりも必要なものは何だろう?


時間??

お金に対する欲(お金の自分にとっての価値)が減っていくと
相対的に、時間に対する欲(時間の自分にとっての価値)が増えることになる。
つまり、お金増やしに一生懸命になればなるほど、時間の貴重さが際立ってくる。

仕事に没頭のあまり、趣味も持てず、ふと何のために働いてるんだろう!?とつい自問自答してしまう人なんかその格好の例かもしれない。

そうなると解決の術として、お金で時間を買うアイデアが浮かんでくる。
通勤時間を買おう。都心の高級マンション購入。ベビーシッターを雇おう。

それはそれで、身を粉にして一所懸命増やしたお金を
単に時間と交換しているだけの自分にふと気付く。
じゃ、何のためにお金を増やしていたんだろう?と。
そもそも、何がしたかったんだ?と。。。疑問は振出しに戻る。



デフレが止まらず、安く幸せが買える時代。
年金の不安、経済の不安などから、盲目的に資産管理、資産投資に傾倒しがちだが、
本当に重要なのは、何のためのお金なのか?考えること。
お金は手段であって目的ではない。
目的は何なのか?をぼんやりとでも夢見つつ、
それに1歩でも近づくようにお金にも働いてもらう。

そんな、スタンスでお金と付き合っていきたい。
と第3のビールで一抹の幸せを感じながら、内藤さんのブログを読んで思いを巡らせた。

November 7, 2010

【賃貸vs分譲 永遠のテーマに終止符を】 最終章!結論。(5分でできる診断ツール付)


前々回はモデルケースを用いて主に数字の面から分譲と賃貸を比較した。前回はそれに加えて、同様に重要である数字に換算しにくい定性的な側面も盛り込み、漏れのないよう両者のメリットとデメリットを洗い出した。今回はそれらを踏まえた上、どうやって意思決定を下せばよいのかを提案したい。客観性と公平性を確保する為に、私自信と私の知人の2つのケースを用いて説明する。

繰り返しになるが、賃貸がよいか分譲がよいかという問いに、誰にでも普遍的にあてはまる唯一解は存在しない。確証の無い前提に基づき、それらの損得勘定を精査しても優位差は見いだせない。また、前回列挙した項目のどれに重きを置くのかは人により異なり、その優先順位によって買うべきか借りるべきかは変わり得る。(当たり前すぎてつまらないことかもしれないが、、)つまりどちらに関わらず、意思決定をするにあたり良く考え“よく納得する”ことが、決断に自信を与え、その後のパフォーマンスを上方修正してくれる。“よく納得する”為の一助になればと、『優位性診断ツール』を作ってみた。


優位性診断ツールについて
(実際のツールは文章下部のリンクボタンもしくは左のUseful Toolをクリック)

図1:分譲vs賃貸優位性診断ツール(出力イメージ)


図1上部の座標は、分譲と賃貸との相対的な優劣を表す横軸、各検討項目間の相対的重要度を示す縦軸からなる。以下に示す検討事項9項目について重要度並びに分譲と賃貸のパフォーマンス(分譲と賃貸の2つの選択肢x9項目=計18点)を評価し座標上にプロットしていくわけである。

横軸は分譲vs賃貸の相対的なパフォーマンスを表す為、横軸の真ん中に点が位置する場合は分譲、賃貸の優劣に差はなく、全く同じ評価ということになる。逆に横座標で分譲と賃貸が極端に離れている場合は、そのパフォーマンスに明らかな優劣があるということである。
縦軸は各検討事項の相対的重要性を表す。縦座標で上にあればある程、その検討事項は評価者にとって重要ということになる。逆に下であればその分、重要度は低いということになる。(縦軸の真ん中の場合は、その項目の重要度は、全項目の重要度の平均値と一致する、つまり平均程度に重要ということである。)

以上から、右上の象限に点がくれば自分にとって、その評価項目は重要かつ優れているということになる(主たる動機となる点)。また、左下の象限に点がくれば、劣っているけれども、自分にとっての重要度は低いことになる(別に無視してもよい点)。重要な示唆を与えてくれるのは左上の象限である。左上に点がきた場合、それは重要であるけれども劣っていることを意味している(妥協をしなくてはならない点)。それぞれの点の位置を見ることで、選択決定の際にどの点を自分は“かっていて”どの点において自分は“妥協をすることになる”のか一目瞭然となる。

2次元で表された検討項目は示唆に富んだ情報を与えてくれるが、より端的に分譲、賃貸のどちらが優れているのか数値化したのが下部の優位性評価インデックスである。それぞれの点の位置情報からどちらの方が評価者にとって優れているのかを1次元的に数値化したものである。数値がより高い方がその人にとって良い選択というになる。(具体的には、インデックスは相対的パフォーマンスをそれぞれの相対的重要度で加重し、平均値をとった数値である。)


この初回版のモデルに組み込んだ検討事項は以下の9項目である。(経済的損得をあえて含めなかったのは、先にも述べたように想定次第でその優劣は容易に入れ替わってしまうからである)

[経済的事項]
1.資産の流動性
2.インフレ耐性
3.災害時のリスク耐性

[利便性事項]
4.引越しの容易さ
5.物件のグレード

[精神面事項]
6.支払の精神的負担
7.所有欲の満足度
8.老後の安心感
9.社会的信用の獲得


これらの各項目についてその重要度、ならびに分譲と賃貸に関するパフォーマンスを1-7で評価していく。


図2:分譲vs賃貸優位性診断ツール(入力インターフェイス)


重要度については:1=全く重要でない、4=中立、7=非常に重要 として前9項目について評価をする。
パフォーマンスについては分譲と賃貸、各々についてそれぞれの検討項目を1-7の値で評価していく。

各評価項目の定義は以下の通りである。
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1.資産の流動性:
投資や財務に疎い方は流動性の概念が理解しにくいと思うが、購入する不動産もすべて含めた自己資産がどれだけ容易に換金できるかということ。分譲購入を選択した場合と賃貸で行くと決めた場合で、自己総資産がどの程度固定されてしまう(好きな時に現金化できなくなる)のかということ。現金化しにくくなるのであれば流動性は低くなる。逆に、容易に現金化できるのであれば流動性は高いということになる。

2.インフレ耐性:
分譲を買った場合と賃貸で行く場合において、将来インフレ(賃料の上昇など)が起こった時、家計に占める住宅費がインフレに対して強いかどうかということ。

3.災害時のリスク耐性:
万が一の災害(地震や火事など)が起こった場合、住宅がそのようなリスクに強いかどうかということ。

4.引越しの容易さ:
(分譲の場合は、買ってしまったからなどといった)条件に縛られずに好きな時に自由に引越しが出来るかどうかということ。

5.物件のグレード:
住居の内装、設備やインテリアのグレードがよいかどうかということ。

6.支払の精神的負担:
分譲の場合は主にローン、賃貸の場合は主に賃料の支払いを精神的に負担と感じるかどうかということ。(ローンの場合は、借りているお金を返さなくてはならないということが精神的にプレッシャーになるかも考慮する)

7.所有欲の満足度:
家を所有したいという欲求をどの程度満たしてくれるのかということ。

8.老後の安心感:
賃貸ならびに分譲の場合、老後に対してどの位安心できるかということ。

9.社会的信用の獲得:
持ち家を持つもしくは賃貸で行くことで(例えば、与信審査や世間の目などといった観点から)社会的信用が得られるかということ。
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私の場合

まずは私自身、自分と向き合い評価をしてみる。
『強調しておくが、ここからが私見の部分(あくまで、私の場合)である。』

1.資産の流動性
重要度「6.5」/ 分譲のパフォーマンス「1.5」/ 賃貸のパフォーマンス「6.5」

私にとって最も重要なポイントである。分譲は明らかに流動性の面で賃貸に劣る。市場の環境に応じてポジションを変えたいので資産の大部分が不動産という形で固定されてしまうことは、ポートフォリオの柔軟性の観点からも大きなデメリット。さらに流動性が低いということは、随時、資産価値を把握できないということで、目標リターンを持って積立投資をしているものにとって、パフォーマンスのモニタリングが出来なくなり、これも困る。やはり家計の経済活動における資産の流動性というものも、人間にとっての血液同様、さらさら健康でなくてはいけない。

2.インフレ耐性
重要度「4.7」/ 分譲のパフォーマンス「5.5」/ 賃貸のパフォーマンス「3」

前回も言及したが、分譲にはある程度のインフレヘッジ効果があることは認める。個人的に、いつかはインフレは起こるのではと思っている。いつか分からないけれども実際に起これば、インフレが資産に及ぼす影響は無視できそうにないので、ヘッジは重要と考える。ただし、何も単一の現物資産である住処としての不動産にその効果は期待しない。いつ来るかわからないリスクヘッジの為に、とるリスクにしては大きすぎる。株式への投資やREIT、多少のコモディティーへの投資等、もっと流動性の高いインフレヘッジの代替商品は沢山ある。それでも対処できないような過度なインフレが起こったら、まず素直に家賃が安いところに引っ越すことを考える。言わずもがな、そんな状況が起これば、ピンチになるのは私だけでなく、日本や世界経済全体が狼狽してしまうはず。

3.災害時のリスク耐性
重要度「4.2」/ 分譲のパフォーマンス「2」/ 賃貸のパフォーマンス「6」

万が一の場合、賃貸はいつでも出て行けるのでリスク耐性は高い。しかし、忘れてはならないのが、万が一の災害が本当に「万が一」の事であれば、心配しすぎることがかえってコストになるということ。もちろん万事の事態に備えるに越したことはないが、十分な余剰資金の確保が何よりの不安緩和剤となる。ゆえに、わずかに重要といった程度。

4.引越しの容易さ
重要度「6」/ 分譲のパフォーマンス「3」/ 賃貸のパフォーマンス「6」

賃貸の方が明らかに引越しは簡単である。簡単に引越しが出来るかどうかということは、単に将来の自分のキャリア上、職場がどこになるか定かでないということだけでなく、ライフステージによって一緒に住む家族構成が変わる等といった点からも重要と考える。それらの状況変化に対して臨機応変に部屋の立地や大きさを引越しにより自在に変えられることは、引越しにかかるコストを埋め合わせて余るくらい大きなメリットとなる。また、近隣とのトラブル等生じた場合、賃貸なら簡単に出て行くことが出来る点も有利。

5.物件のグレード:
重要度「3」/ 分譲のパフォーマンス「6」/ 賃貸のパフォーマンス「4」

一般的通念では分譲用マンションの方が賃貸物件に比べグレードが良い。もちろん昨今、賃貸物件でも分譲同様に上質に作りこんだ物件も増えてきてはいる。分譲の物件が賃貸として出されるケースも多い。私自身、豪華なロビーとか生ごみディスポーザーとか不要な付加価値に別段興味はない。最低限のセキュリティーや宅配ボックスなどがあれば十分なので、この項目の重要度は低めである。

6.支払の精神的負担:
重要度「5.5」/ 分譲のパフォーマンス「1」/ 賃貸のパフォーマンス「5.5」

住宅費の支払いがメンタル面に及ぼす影響は無視したくない。ローンの支払いが常に頭の片隅から離れず、それがリストラ・失業の不安を増幅させるなどといった日々の精神的重荷だけでなく、住宅ローンのような長きにわたる借金はやはり、長期的にもキャリアやライフプランに良かれ悪かれ大きく影響を及ぼす。ローンの存在が夢や可能性の芽を摘んでしまう恐れも十分にある。一方、人によっては、ローンの強制的支払いが浪費癖を抑制し利点となる場合もあるかもしれない。しかしながら、節約したお金での積立投資を主体としたい私にとって、ローンはデメリットとなるだけでメリットにはならない。多くの投資本が示唆するように、金を借りているうちは投資はするな、という助言に忠実でありたい。

7.所有欲の満足度:
重要度「1.5」/ 分譲のパフォーマンス「7」/ 賃貸のパフォーマンス「1」

物欲のあまりない私にとってこの点は、全くと言っていい程重要でない。分譲肯定派にとって最もポピュラーな理由付けはこの点ではないかと思う。所有の欲求というのは人によって千差万別。所有欲の強い人にとって、自分のものということへのこだわりはまさにプライスレス。借家に住むのと、ローンを組んでいながらも(他から借りたお金であるのだが、、、)買った持ち家にすむのとでは、そのような人にとっては住み心地が全く異なるようである。少なくとも私には当てはまらない。借家を恥じることも無ければ、ローンを組んで買ったからといってそのこと自体を誇ることもない。所有に対するこだわりは全くと言っていい程重要ではない。日本に古くからはびこる持家信仰は、バブル以前の不動産価格が右肩上がりだった時代の産物であり、いまどきでないと思う。

8.老後の安心感:
重要度「5」/ 分譲のパフォーマンス「5.5」/ 賃貸のパフォーマンス「2.5」

老後に対する不安は歳とともに増えていく。少なからず、自分が学生の頃はそんなことは微塵も気にはしなかったが、現時点ではやや気にかけるといった程度。もちろん分譲の方がローン完済後、住処に頭を悩ませる必要がないという理由から老後の安心感は高い。が、裏を返せばその物件に住み続けなくてはいけない(もちろん売れれば他に移れるが、、)という足かせにもなり得る。一方、賃貸は高齢になると審査が通らないことや将来の賃料の上昇等、不安要素は多いのは事実。

9.社会的信用の獲得
重要度「1」/ 分譲のパフォーマンス「6」/ 賃貸のパフォーマンス「4」

最も重要でない要素。持家だとクレジットカードの審査上有利に働くなど実生活の一部で、持家であることが評価される場面があるにはある。統計的に持家派の人の返済能力は高い。故に、より信用が出来るという理屈も分かるが、それが当てはまらないケースも沢山ある。しっかり毎月の支出を管理して賃貸で住んでいる人も信用性は十分高いと思う。逆に、分譲派でも住宅ローンに金利上昇が伴って、未払いに陥るということも起こり得る。とにかく、分譲=信用が高いというロジックはつっこみどころが満載である為、まったく重要でない。

以上の私の個人的な評価に基づいた結果は以下の通りである。

図3:私の結果


インデックスに注目すると2倍近くの差で賃貸の方が優位という結果となった。マトリックスについては、赤い点が賃貸を表し、青の点が分譲を表す。先に説明したように、資産の流動性が高い、引越しが容易、支払の精神的負担が軽いことなどが、私には賃貸が向いている理由である。一言で言うと、フットワークは軽くありたい、ということが一目で見てとれる。左上の象限に注目すると赤い点が二つ。老後の安心感とインフレ耐性については賃貸の足を引っ張る要素となっている。賃貸でいくのなら妥協をしなくてはならない点である。その他、社会的信用、所有欲、物件のグレード等は私にとって重要でないので、総合評価にあまり影響を及ぼさない。現時点において、賃貸の方が向いているというのが私の結果である。


知人の場合

公平を期す、というか、モデルの中立性を確かめる為に、私とは別の考えを持った知人にこの診断ツールで評価を行ってもらった。彼も私同様、買うか借りるかについて検討中である。

彼の診断結果は以下の通りであった。

図4:知人の結果


彼の場合、私と逆の結果で倍近くの差で分譲が優位であるという結果となった。主な理由は所有欲を満たしてくれる、老後が安心、社会的に信用も得られるからである。資産の流動性についてはその重要性は認識しているものの、分譲購入により流動性が低くなってしまうのはいたしかたないといった感じ。私との大きな違いは、引越しをあまり考えていないという点である。仕事が私と比べて安定しているせいもあるのか、落ち着いて定住したいという気持ちがある為、引越しが簡単にできるかどうかは彼にとって重要ではない。この診断結果から、彼にとっては賃貸よりも分譲の方がよいということが言える。

以上の例のように、検討項目の重要度、優先順位が変われば、分譲と賃貸どちらがその人にとって有利となるかは変わる。当たり前のことであるが、このツールでも同様に確認できた。


ツールの使用に際して

実際に、今マンションを購入しようか、賃貸のままで行こうか思案中の方にも是非、判断材料としてツールを活用してもらいたい。また、例えば妻と旦那とで意見が食い違う場合にもこのツールで考えを見える化させることで、どの点が共感できて、どの点が議論が必要かが一目瞭然となる。

[Adobe Flash Playerのインストールが必要です]
[開いてから操作可能になるのに少し時間がかかります]
[座標の点の上にマウスを載せると、その点が表す評価項目名が表示されます]
[β版ということで、エラー、改善点などありましたらご一報下さい]


使用方法は直感的で簡単であるが、分析結果の精度を高める為、幾つか注意点がある。

------注意事項------------------------------------------------
・ それぞれの検討事項がどんな定義で何を意味しているのかを真に理解することが第一。特に予備知識の無い方には、自己資産全体の流動性の概念やインフレがどうして関係するのか等、丁寧に説明したつもりではあるが、きちんと理解の上で評価する必要がある

・ 自分にとっての評価である。世間一般の印象や、近くの友人の影響等よりも自分で考え、自分にとってどの程度重要か、そしてその優劣を自分と向き合いなるべく客観的に評価すること

・ 1-7(0.1刻みで)の評価であるが、出来るだけスケールをフルに使うこと。答えが真ん中に集まりすぎると各々違いが分かりにくくなり、インデックスの差も小さくなる
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最後に、

終わりのない議論「分譲vs賃貸」に終止符を打つという大きな目標を掲げて、3週に渡って分譲と賃貸について考えてきた。経済的要素、定性的要素を丁寧に考えて行くと、(普通すぎてつまらないかもしれないが、)やはり分譲がいいのか賃貸がいいのかは人それぞれであるという結論に至る。では、今現に悩んでいる私に助言を!という声が聞こえてきそうなので、手助けツールを作ってみた。きちんと使用方法を理解して使えば、ある程度は的を得た結果が出るものと思う。途中にも述べたことだが、どっちの方が絶対的に得だという意見はあまりに乱暴で、明らかに間違いであり、どっちが良いかなど人それぞれである。重要なことはそれを多角的にきちんと検討したうえで、方向性を決め、今後の人生で貫いていくことである。どうして自分にとって分譲の方が良いのか、どうして自分にとって賃貸の方が良いのか、自覚しながら人生を歩みたい。そうすることで、どちらの選択をとったにせよ、軸のぶれなくなり、その分だけパフォーマンスは向上するはずである。

こうした思考の末、私自身今思うのは、現役時代は賃貸で過ごし、生活余剰資金で投資を続ける。仕事から引退する頃にでも、育っているであろう資産を元に、現金で住処を買えればよいなとうっすら思っている。東京、日本とは限らない、どこかスローで温かいところにでも居を構えるのが良いのかもしれない。