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April 20, 2025

AI時代に、なぜ書くのか? -ユヴァル・ノア・ハラリ 講演会- (2)

前回の投稿では、新著「NEXUS情報の人類史」の発表もかねて来日した、ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)のパネルトークの内容についてまとめました。

ハッとさせられる刺激的な内容も、時間とともに徐々に腹の中へ落ちていき、自分の考えの一部なってきている気がします。

「なぜテクノロジーは発展しているのに、人は幸せから遠ざかってしまうのか?」

新著の帯にも書かれているこの問いは、加速度的に変化していく日常の中に生きる自分にとっても、
どこか頭の片隅にこびりついて離れない、問いというか、共感できる違和感でした。

本講演はその問いに対して、少しヒントをくれたような気がします。


*****

【心、感情、魂の大切さ】

活版印刷技術、内燃機関の発明、インターネットの広がり等と同じように、AIはきっと人の生活を一変する人類革命史に残る大発明になるでしょう。

でも、それに伴って大切になってくるのは人の心、感情、魂です。その中には倫理感も含みます。

AIが世の中に浸透すればするほど、コンピューターが自らの編集、拡散力で有象無象の情報を世の中に送り出していきます。

世の中の情報総量が増える中、ファクト(真実)が占める割合は減り、フェイク(偽情報)の割合は大きくなります。

だって、人って真実には目を背けたくて、作られたストーリーの方が耳障りが良く、受け入れやすいという脳と心理的構造を持っているから。

そんな混沌としていく情報世界の中で、心穏やかに日々過ごしていくためにも、心、感情、魂、人の倫理感とかって、これまで以上に重要になります。

変化の荒波に飲み込まれないためにも、ハラリはこう提案します:

教育など人を育む環境において大切な姿勢は「フレキシブルな考え」であり「変化できる自分」を持つこと。
学校での休み時間や職場でのランチタイムとかの「休息時間」は、心を育み、自由に開放してあげる大切な”間”であり、失っちゃいけないもの、だそう。

そうとう心して訓練、武装をしない限り、情報の洪水は、人間により深刻な被害をもたらすことになるでしょう。

食べ物は身体の源であるように、情報は心の源。

偏った食べ物のせいで太っちゃったら、ダイエットしなきゃいけないように、ヘンテコな情報に沼っちゃったらデジタル・デトックスが、意識的に必要かも。


【歴史学とは将来への変化の学問である】

ハラリは言います「History is study of change, not study of the past.」

かつてどのように人・物事が変化して、対応してきたのかを理解することは、同じ間違いを繰り返さないためにも、そして、二度と同じ苦しみを味わわないためにも、必要なことで、歴史学は人にその視点を与えてくれるそうです。


高校まで赤点しかとったことがなかった歴史という科目。
若かりし頃は、科学こそが人・社会を豊かにする学問の王道だと信じ切っていました。

年を取ったからなのか、科学に頭がついていけなくなったからなのか、理由は良く分からないけど、人生のこの局面でハラリの思想と出会ったことで、歴史学の意義とその価値を改めて学びました。

前例を見ないほど変化が目まぐるしく、ますます先が見通せなくなっていく世の中。
我々の前にはたくさんの乗り越えなくてはいけない壁があります。

人類課題に対しては、科学やテクノロジーが突破口になることもあるから、自然現象や宇宙の原理・因果を究明することは重要ですが、過去や人間の本質を深く理解し、人間らしい思いや心を、将来判断、行動への拠り所にすることの大切さが、年々増してきているような気がします。

学問っていろいろありますが、そのセンターポジションは時代とともに移り変わってきている気がします。

哲学、神学→→自然科学・医学→→経済学→→ みたいなかんじで。

今のセンターポジションは、AIを生んだ 計算機・情報科学 という見方もあるかもしれないけど、もしかしたら最先端であるべきものは、歴史学だったりするのかもしれません。

*****

パネルディスカッションの音声を撮っておいて、その音声データをAIに入力すれば、自分よりもはるかに早く、正確で、わかりやすく要点をまとめて、出力して、書いてくれます。

そういう時代に生きています。

しかし、なぜ私は書くのか。

抗うことができない時代の変化に対して
自分の思いや心に、存在価値(力)を与えたいからなのかもしれません。
たぶん。














March 23, 2025

AI時代に、なぜ書くのか? -ユヴァル・ノア・ハラリ 講演会- (1)

 「サピエンス全史」で歴史観を変えてくれたユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)の話を生で聞きたいなー、と思っていた矢先、新著「NEXUS情報の人類史」発売のタイミングで、初来日という知らせが飛び込み、先週月曜日にTOKYO COLLAGE主催のパネルトークに行ってきました!


満席の安田講堂

1時間半の濃い講演会で、いろいろと考えさせられ、長文乱文ですみませんが、二回に分けて書きます。
初回はパネルトークのまとめ、それに続き、思ったことを書いていきます。

講演は英語だったので、日本語化しにくい言葉などは英語もつけときました。読みにくいだろうなーと思うので、Chat GPTでサマってもらえると、本意です。

------以下、パネルトーク--------------------------------------------------

【人はストーリーに導かれる】

情報ネットワークとは、人を導く力があるストーリーを作ること。その発展は人類史そのもの

例)原爆制作 マンハッタンプロジェクト
→大量の人を導くためには、良いストーリーテラーが必要

Q 現代のデジタル化はストーリーテリングをどのように変えた?
“編集”の役割が変わった
人のAttentionを集めることにみな躍起

例)米国大統領選挙 トランプvsハリスの犬猫討論
トランプは編集の天才であり、注目(Attention)集めの天才
かつて、ムッソリーニが有能なメディア(編集者)であったがゆえに、独裁者となった

今、最も力を持っている(持ち始めている)編集者は、AI(=アルゴリズム)である

これまでの人類史の中で初めて、機械が人にとって代わる局面
それは、民主主義(民政)の危機を意味する

さらに、AIは編集者にとどまらず、新しいストーリーを作る力すら有している
新しいストーリーとは、宗教かもしれないし、貨幣にとって代わる新しい経済基盤かもしれない


【AIと社会秩序】

新エージェントの台頭
AIが新エージェントとして、その力を解き放つのは社会秩序(Bureaucracy)の檻から放たれた時

例)日本のトップの弁護士は、既存の社会秩序(Bureaucracy)の規程の中でのみ、その力を発揮できる。例えば、彼が人里離れたアフリカのサバンナの中に行ってしまったら、彼のその力は無力になる。巨大アフリカゾウ、ライオンの方が俄然、力を持つことになる

AIも同じ。

既存の社会秩序(Bureaucracy)の中に留まっている限りは、その力は限定的
真の脅威は、AIによって社会秩序(Bureaucracy)の堰が切れた時

かつて、ラジオは情報をブロードキャストすることはできたが、編集力は持たなかった

AIは違う。

SNS アルゴリズムがそうであるように、情報発信に編集の力が加わる


Q AI(アルゴリズム)による専制時代を迎えてしまうのか?
可能性は大いにある

例)資本主義(Capitalism)
紙幣はただの紙。それに価値を与えているのは人々による中央政府に対する信頼だが、
経済至上主義が拡大しても資本主義(Capitalism)が人間を飲み込まなかったのは、自己修復機能を内在していたから
神の見えざる手による市場調整機能、とか

資本主義(Capitalism)の中心にあるのは、人間が互いに信じるWin Winの温かい心
「拡大再生産にもとづき経済全体のパイが大きくなることで人間は豊かになる」とみんなが互いを思い、信じているから

生産性の飽くなき追及は、内在する自己修復機能で管理監督できても
SNSは、もはや管理監督できない

(今のところの)AIの作り手である、企業(SNSプラットフォーマー)が責任を持つべき

フェイクニュースやヘイト投稿それ自身の罪はよりもむしろ
それを編集、拡散しているAI(=アルゴリズム)が悪玉

例)2021年ミャンマーSNSクーデター抗議デモ
Facebookアルゴリズムが市民の感情を増幅、クーデター抗議に油を注いだ結果、約2,000人が犠牲となり、45万人がいまだに避難している

Facebook本社社員は、ビルマ語で何が投稿されてるか読むことすらできないので、その投稿の内容については知る由もなく右も左も何の意思もないが、人の注目(Attention)をかき集めるという動機だけでアルゴリズムが自動的に油を注いだ

提言①:人による規制、管理監督

  • fake peopleを罰する(偽造貨幣作ったら罰を受けるのと同じ。社会秩序(Bureaucracy)ピラミッドをある程度は崩されないように)
  • 拡散させるアルゴリズムを規制する
  • (最終的には人間の責任とするためにも)人による管理監督、ファクトチェッキングプロセスを抜かない

【AIと教育】

Q AIが教育に及ぼす影響は?
いまだかつてなく将来が見通せない時代。10年後すら視界不良。教育者は非常に難しい立場

重要になってくるのは、変わらないもの、必要スキルへの着目
プログラミング、外国語なんかは真っ先に不要になる

人が育つ上で重要なのは:
  1. フレキシブルなマインド
  2. 自身が変化できること
それをどう教育で後押しできるか。学びをとめないか

数学を含む”Language”が全ての巨大な組織(Institution)のベースにある

ファイナンスの世界では、もはやトップバンカーよりもAIが勝る

宗教の世界でも、AIが革命を起こす
人は、文書・書物を2500年作り続けてきた
それはテキストでありスタティックでありサイレント

AIは違う。

編集力(=ストーリー発信力)を備えている


教育においては、”Language”を教えているだけではダメ
意識(Consciousness)や感情(Feeling)、身体(Body)みたいなことを伸ばさないと

パネリストのひとり、東大副学長曰く、
「東大は今、教育の変化に苦悩(Struggle)している。150年の歴史があっても(を引きずっているから)」
「AIをつかった不正(Cheating)などインテグリティの強化も必要」
「AIはより良い先生になり得る。学校は(Authority)を保つ必要がある」 

。。。

Q AIによる個別教育の可能性?
きめ細かに個別最適化された(Hyper personalized)教育や創薬。そこはAIの強力なベネフィット。
ただ、ダウンサイドも伴うことは忘れてはいけない

教育でもっとも大切な瞬間は休息時間(Break time)にある
授業中・本からの座学だけが学びではない

AIが取って代われないコトがそこにある

【AIと心】

心(sentiment)、感情(feeling)、魂(Soul)などを合わせて親密さ(Intimacy)と呼ぶ
親密さ(Intimacy)は、注目(Attention)よりはるかに強力な扇動力(=Story Telling力)を持つ

プレAI時代:注目(Attention)は量産できても、親密さ(Intimacy)は量産できなかった
AIは親密さをも、量産拡大する可能性を秘めている

人はAIに対し、感情的に結びつく(Attachする)ことがあるから
AIは親密さ(Intimacy)を模倣することができる可能性がある

人は目の前の相手に対してだけでなく、その人の周辺の人に対しても親密さ(Intimacy)を持てる
現状AIは、現状目の前のその人に対してのみであるが、、

例)彼女が好きで結婚したい彼がいる。厳しい彼女の父が首を縦に振りそうにないから、彼は悩む
AIは彼のエージェントであり、彼&彼女の最適化を支援する
その彼が彼女が好きで結婚したければ(彼女も同じ思い)、その最適解決策こそ提示するが、それが周りに及ぼす影響まで配慮がない(今のところ、、)

個人最適なAIが世の中にはびこると、皮肉にも最終的には社会が親密さ(Intimacy)を失った世界となってしまう社会秩序(Bureaucracy)の堰が切れる


Q AI嫌いなの?
たんにAIに反対しているわけではない
自動運転によって、飲酒運転や高齢者事故は大幅に減り、数多くの人命が救われることになるはず

親密さ(Intimacy)の構築、友情(Friendship)とはどのような意味があるか
それは、双方向(Mutual)であること
反対側に心を持った対象が必要


Q AIは自分の心、感情を持つことができようになるか?
現状持ってない

例)AIはチェスチャンピオンをとうの昔に凌駕している、が
勝っても喜べない、負けても涙を流せない

シリコンでできた頭脳(Silicon Brain)は心、感情を持てるのか?

私は日本の専門家ではないので、わからない部分があるが
日本の良き文化、歴史は、人間の知性(Human Intelligence)の要素をたくさん持っていると思う

多神教の精神が通う、神教
悟りや解脱を追求する、仏教
に限らず

人の在り方は? AIとの向き合い方は?

人類の長い歴史の中で、その重要な問いに向き合える、いまだかつてないタイミング
その重要な問いに回答しなくちゃいけない期限は、もうこの先1000年は待ってくれない
この5年、10年で何らかの答えを出していかなくてはいけない

【参加者質疑】

Q AIによって陰謀論が助長され、世の中の信頼が棄損されることになるのか?
社会全体が信頼を失い、人々は孤独になる危険性がある

人は互いに「思い遣っていますよ」と感じ合えることが大切

例)世界中、中学・高校生がlike集めに走る。個性を置き去りにしてしまう

提言②:情報のダイエット「情報は心の糧」

食べ物は身体の源。太ったら、食事をコントロールするのと同じように、
情報は心の源。踊らされたり沼ったら、情報と距離をおく


Q AIが進化すると国の予算最適化もできるようになるのでは?
AIが予算編成や外交政策の手綱を握るようになると、非常に危険

(少なくとも現状)AIには
  1. 倫理的判断力伴わない
  2. 経験からの学びがない
人は数千年の歴史(失敗)から遺伝子レベルで何かを学んでいる
AIにはそれがない

歴史の欠如が危機の本質

人工知能(Artificial Intelligence)はその言葉が意味するように、人の予測を超えて変化をしていくことを肝に銘じなくてはいけない
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ほんと、ハッとさせられ、刺激に満ちたパネルトークから、一週間。
ようやくだんだんと消化できてきたので、次は自分なりの気づきを書きます。
(続く)























July 25, 2020

危急存亡の秋に思う

新型コロナ感染症の広がりを受けて、世界中の多くの人がそうであるように、私の生活も大きく影響を受けました。
3月12日から原則在宅勤務となり、4カ月経った今も家から仕事をする日々が続いています。仕事面だけでなく、私生活、考え方も大きく変化しました。

:) コロナで得たものとしては、

・家族との時間
・規則正しい、シンプルな生活
・どこでも働けるという気付き
・無駄な出費の削減
・天命、今を受け入れる心
・人間は罪深いなぁという思い

:( 失ったものとしては、

・ストレス解消の飲み会
・海外旅行
・ホームステイの受け入れ
・(特に子供にとっての)体感、体験機会
・通勤中の読書時間
・"会う"というコミュニケーション手段のプレミアム性
・日々の運動
・人類(地球・自然)の未来についての楽観

これから私たちの先に広がる「Withコロナ」の生活って、これらの「得たもの」がより存在感を増していく世界かもしれないし、「失ったもの」は減っていっちゃうかもしれないけど、人類の知恵と工夫で新しい術とか代替物が産み出される世界になっていくのかもしれない。

変革期って言われるタイミングとか、非常態下じゃないと気付けないことって結構あったりする。
有事の時が過ぎ去ったり、慣れちゃったりして、忘れないように書き留めておきたいと思います。

March 11, 2016

5年前、今、5年後、50年後

東日本大震災から今日で丸5年。
日々の目の前の生活で、徐々に薄れつつあるあの時の気持ち。
忘れちゃいけないと思い、5年前のブログを今一度読み返しました。

~今できる5つのこと~ 
http://loiseaubleutokyo.blogspot.jp/2011/03/blog-post.html

地震発生から5日後。ようやく心が落ち着き、何が起こったのか整理がついてきました。
一人の生きる人として、今何をしなくちゃいけないか思いを巡らし、その時出てきたのがこの5つ。

1 冷静な対応
2 寄付
3 持続的な節電
4 ひたむきな経済活動
5 笑顔で挨拶


この5つは地震発生後の5日後だけじゃなくて、5年後、そして50年後も自分にとって大切で忘れちゃいけないことです。

5年前のおっきな出来事とまではいかなくとも、
日々、色んな出来事に遭遇します。
そんな時、必ず頭の片隅においておこうと思います。


もし、できていない私を見かけたらそっと耳打ちしてください☆

April 5, 2013

頑張りどころを間違わず、頑張れ新入社員!!


新入社員の皆さん、苦難の就活を乗り越え、ご入社おめでとうございます!

新社会人へのアドバイスというとおこがましいのですが、自分の経験に基づいてひとつメッセージがあります。

ぜひ、「何が厳密であるべきで、何がそうでなくてもよいのか」の目利きになりましょう。

もし私が「学生と社会人との最も大きな違いは?」と聞かれたら、迷わずこう答えるでしょう。

学生の行動原理は「どれだけ厳密たりうるか?」であり、社会人の(に必要な)それ「どれが厳密であるべきか?」とは大きく異なります。

学生は、論理立てて解答にたどり着くことのできる、「答えのある問題」の訓練をひたすら受けます。それはそれで崇高な、学生ならではの特権であり、教育という観点からも論理的思考を鍛ることのできる意味のあることです。

しかーし、社会人の世界はそうは問屋が卸しません。社会にある多くの問題には答えがありません。世の中の多くの問題は、「答えのない問題」であり、しかもそれらはより重要な問題であることが多いのです。

ビジネスマンが日々向き合う課題も、
実際にやってみなければ分からなかったり、
不測の出来事で当初の想定がくるってしまうことが明らかだったり、
そもそも、何を持って正解、成功なのか分からない問題がほとんどです。

そんな問題に立ち向かい、個人、企業として行動を起こしていかなければならないのが社会人です。

「答えのある問題」に取り組むには、論理に矛盾がないか、もれなく重複なく考えが及んでいるか、その精度は十分に高いのかが勝負になります。つまり厳密性が勝負の分かれ道になります。

一方、社会人として取り組まなくてはならない「答えのない問題」においては、厳密であることよりも、入り口で何が厳密で何がそうでなくてもよいのかをきちんと判断することの方が100倍重要で、厳密性でなく選択性が勝負の分かれ道になります。

たとえ事細かに厳密性を担保しながら進んで行っても、そもそもの入り口のところで間違った方向に進んでいたが為に、完全な無駄足になってしまったという例(厳密性の罠)は数多くあります。無駄足と気付いて途中で引き返せればまだましですが、たちの悪いのが、それが無駄足であるという事すら気付かずに突き進んでしまう場合です。

「答えのない問題」に満ち溢れた社会への船出を前に、とりわけ新入社員の方々に意識を切り替えてもらいたいのは、キャリアを積んだベテラン社会人でさえも、この厳密性の罠にハマってしまうからです。

どうして日本のメーカーはiphoneを作ることができなかったのでしょうか?

スマートフォン紀元前における日本の携帯電話メーカーは1社の例外もなく厳密性の罠にハマっていました。携帯電話の製品開発において重要だったのは、カメラの画素数であり、液晶の解像度でした。それをどれだけ厳密化できるかをこぞって競っていたのです。
「売れる携帯電話とは?」との問題に対して、「競合他社のスペックをいかに上回れるか?」にとらわれてしまっていたのです。誰も入り口に立ち返り「製品を作るうえで何を追求すべきか?」を顧客視点で考えませんでした。
問題解決において厳密性ではなく選択性がどれほど重要かを知り尽くしたアップルは違いました。顧客の望む(売れる)製品とは「厳密なスペックをもつ製品ではなく、直感的な操作性(ユーザー・インターフェイス)を持つセクシーな製品」であることを見抜き、みごと製品という形で具現化してみせたのです。

そもそも「答えのない問題」なので、何が厳密であるべきか(言い換えると、どこを頑張るべきか)も明確な答えはありません。それを決めるのが戦略です。iphoneが市場を席巻して初めて、学生の殻を破ることのできなかった日本の携帯電話メーカー陣はようやく自らが厳密性の罠にかかってしまったことに気付いたのでした。

厳密性の罠のもうひとつの例。
昨年の衆院選を受けて、昨今話題となっている、1票の格差問題です。

「法の下の平等にのっとったあるべき選挙のあり方とは?」というこれまた答えのない問題は、国が総力を挙げて(そもそも、どれだけ闘志があるのかは疑問ですが??)取り組む問題です。国の最高機関である議会や法曹界最高権力の最高裁を以てしても未解決の難題です。
有権者の法の下の平等を律儀に守る為に、国はこれまで様々な制度を展開してきました。その一つが選挙当日、投票所に足を運べない人への厳密すぎる程の対応です。
期日前投票はもちろん、不在者投票に関しても、国外在住の人に留まらず、入院患者や老人ホーム入居者に対する指定施設投票に至るまで、これでもかという程、有権者の一票の権利を救う為の配慮には事欠きません。
それ自体悪いことではないのですが、問題なのはその厳密性にこだわるのなら、もっと根本にあるより重要な選挙区の定数や区割りについて抜本的に対処しようよ~、というわけです。これは明らかに選択性が機能していない状態であって、早急に問題の入口に立ち返る必要があります。

経験豊富な社会人集団であるはずの国内一流メーカー社員に及ばす、
国民の代表である国会議員でさえも、陥ってしまう厳密性の罠。

これまで「答えのない問題」への訓練をほとんど受けてこなかった新入社員の方々が、それらの問題に最初は戸惑い、道に迷うのは当然です。ただ、そんな無駄足を減らし、問題の核心ときちんと対峙する為にも、学生時代とは発想を変えて問題に向き合う必要があることを、自戒を含めてアドバイスしたいと思います。

そんじゃーねー!

March 13, 2013

ふだん気にすることのない時間


・電話機が脱固定化→ケータイ→スマホに進化するのに要した時間
・原発事故発生から完全廃炉に至るのに必要な時間
・ソメイヨシノが苗木から成長しきるまでにかかる時間

一見まったく関連のないようにみえるこれらの出来事に共通するのは「30年」という時間です。普段あまり意識することのない「30年」という時間。その時間を長いと感じるのか短いと感じるのかは、対象やその人の感じ方次第で様々です。

コモンズ投信 取締役会長 渋澤健さんにより毎月配信されるシブサワ・レター。その中に「30年」とは、なるほどそういう見方もあるのかと思う一節がありました。

「人生が90年の場合、子供から青年になる教育時代、社会に出て働く現役時代、そして、定年退職時代という三つの区間に分けることができます。また、健康で無事に家族に恵まれれば、自分は「子」「父母」「祖父母」という三つの人生のステージを、それぞれの立場から体験できることになります。「30年」は一世代の象徴です。」(引用終わり)

人生を30年区切りとして3分割。
高等教育卒業までではなく、30歳までは学びの時期なんだな~とか、
自分は第2ステージが始まったところなんだな~とか、
退職後もまだ残り1/3もあり新たなステージの始まりなんだな~とか、
30年という間隔で一生を区切ることで新たな視点が生まれます。

長くもあり、短くもある30年。その時間の持つ意味は人それぞれだけど、
ただひとつ確かなことは、誰しも毎日を過ごすごとにその時間を1日減らしていくという事実。

年度末、桜の開花を待ち焦がれながら、自分の現在地はどこで、これから先に続く道程はどうなるのか
思いを巡らすのも、たまにはいいのかもしれません。

February 18, 2012

一生ものの時計

「超整理法」の始祖、野口悠紀雄氏
の新著『クラウド「超」仕事法 』(講談社)では、
当時不可能だった数々の便利ツールが
ITの進化によって実現可能となったことを受け、
そのコンセプトをさらに深化させました。

スマートフォン、クラウドを駆使することで
より仕事の効率を上げる数々のTipsが
本書には惜しげもなく紹介されています。

ところで、
直接に本の趣旨とは関係ないですが、
章末のコラムに「一生時計」という
面白いアイデアがあったので、
早速自分で作ってみました。
(男ということで、時計の一周はきりがよい80としました。)

究極の人生の「見える化」です。
可視化することでいろんな雑多な思いが浮かんできます:

んー、人生勉強だなとか。
んー、もう1/3埋まってるなとか。
んー、余白もまだまだあるなとか。
んー、その余白に何を書こうかなとか。

野口悠紀雄氏はこの一生時計を前著に載せようとしたが、
読者への影響を考慮して躊躇したとのこと。

んー実際に眺めてみると、
人生の見える化に対して、
とくべつ何かな有益な作用を期待するわけでもないですが、
おもしろい。

人生の分岐点にさしかかったら
再び見ることになるのかもしれません。

[参考]

クラウド「超」仕事法 野口悠紀雄 講談社

March 17, 2011

~今できる5つのこと~ 施策&実行

東北地方太平洋沖地震におきましては、
被災者の方々やそのご家族、今なお現地で救援や
事態の終息に尽力されている皆様に、御見舞申し上げますとともに、
被災地の復興をお祈り申し上げます。

地震発生から五日以上が経過し、
信じられない出来事が、現実だったんだと実感に変わり、やがて、
この逆境をどう乗り越えたらいいのか
という前向きに考える気持ちが出てきました。

~今できる5つのこと~


①冷静な対応
これが個人レベルで求められる最も重要な心構えです。
焦り、動揺は事態を悪化はさせても解決はしません。
時には、扇動的でもある情報と距離を置く為にもテレビを消し
(節電&AC(公共広告機構)酔いの特効薬にもなります)、
普段の平日は何をしているのか思い起こし、それを平常心でいつも通りに行いましょう。

私は、日中、パソコンを前にいつも通りパワーポイントとエクセルに向かっています。



②信頼おける団体への寄付
精神的にも豊かな国である日本には、相互扶助の精神があります。
生活余剰金がある場合、その一部だけでも寄付をすることこそが
共に助け合う気持ちを具現化する最も手軽で効果的な方法です。

我が家は、Yahoo!基金の緊急災害募金へ募金をさせて頂きました。

注意)義援金を装う詐欺まがいのサイト、メールが氾濫しています。
くれぐれも募金の運営団体と寄付金の使途を確認した上で募金を行って下さい。



③持続的な節電対策
短期的な節電ももちろん重要ですが、事態の長期化を想定して持続可能で中長期的に節電となる方法を
(言い換えれば、事態が終息した後でも引き続き無理なく行える節電)導入しましょう。

例えば、
・液晶テレビのバックライト(画面の明るさ)を抑える設定にする
・暖房の必要がないように、保温効果のある下着を重ね着する
・お湯は必要な時、必要な量だけやかんで沸かす
・これを機に家の電球を低消費電力の電球型蛍光灯に換える
(他に何か良いアイデアがありましたら、ぜひお聞かせ下さい!)

我が家は、短期的な節電(コンセント抜線、キャンドルナイト)を心がけつつ、
持続可能な節電に今後切り替えます。


④ひたむきな経済活動
経済活動の停滞を極力抑える為にも、
(活動可能範囲に個人差があるので)自分のできる範囲でよいので、
ひたむきに通常の生活を営みましょう。

労働:安全が確保でき、働ける状況にある人については、"通常営業"で参りましょう!
消費:エネルギー源(電力、電池、石油燃料、非常食など)以外については、普段通りに買い消費しましょう。
投資:市場も乱高下していますが、投資に決まったルール(積立投資、損切り、定期的なリバランスなど)がある人は、意思を貫き粛々とそのルールを遂行しましょう。

私は、現在会社より自宅待機事指示が出ていますが、
事態終息後、余裕を持って仕事に戻れるように、蓄えを作りたいと思います。
(営業開始後、すぐに食い尽くすことになるかもしれませんが(苦笑)。。)
これを機に省電力タイプの電球に取り換えます。
アマゾンで本も注文します。読み終えた本も売ります。
いつも通り、ビールも飲みます。
基本、バイ・アンド・ホールドなので保有証券は売りません。
地震前、日本株式群はポートフォリオの約45%だったたので、3/15時点、8%程度の目減りに留まっています。


⑤笑顔で挨拶
昨日電車で、小さい女の子の赤ちゃんを連れたお母さんと隣り合わせでした。
赤ちゃんはしきりに、「おかあさん怖いよー」と鳴き続けていました。
赤ちゃんに笑顔を向けると、不思議がってか(!?)泣きやんで、私の顔を注視してくれました。
(赤ちゃんをさらに怖がらせなくてよかったです(笑))

老若男女問わず、皆に元気に挨拶するように心がけたいと思います。
逆境下では意識をしないと、笑顔は容易に影を潜めます。
たとえから元気でもにっこりと挨拶すれば、笑顔は容易に広がっていきます。

笑顔を忘れそうになった時には、大好きな映画「ライフ・イズ・ビューティフル 」お薦めです!



事態を一挙に解決できるアイデア、奇策などは存在しません。
何気ない日常をいち早く取り戻すためには、
何気ない日常の当たり前のことを、当たり前に行いたいと思います!

May 17, 2006

Building Breakthrough Ideas

I got a great opportunity of two days training at work. “Building Breakthrough Ideas;” it sounds like the seminar talks about something fancy and imaginary, but actually it was very practical and valuable to learn. After several days passed from the lecture, I still remind an important keyword, “Make it concrete.”

For example, Toyota Motor Corp. declares seven principles on their website. “Pursue growth in harmony with the global community through innovative management” is one of them. For me, it is too ambiguous to imagine the meaning. On the other hand, Google Inc.’s principle is presented as ten findings which is concrete enough for everybody to understand their policy as easy as possible. One of their finding states “You can be serious without a suit.” They seriously call it out as one of ten corporate policies. If you were an employee of those companies, which principle can you imagine the idea more concretely and feel more motivated to devote yourself to the company? The answer is obvious. The more concrete the description of idea is, the more it has a power to inspire people. And more interestingly, the level of concreteness varies each person. That’s why communication with proper concreteness evokes people’s inspiration in their conversation. Concreteness is definitely one of important keys to inspire our creativity and produce good idea.



仕事の一環で「発想力強化トレーニング」という二日にわたる講習を受ける機会がありました。名前からすると何か愉快な突拍子もないアイデアについての講習のように聞こえるが、実際の内容はとても実践的でためになるものでした。講習から数日たった今でもひとつ覚えている重要なキーワードがあります。「具体化する」こと。

例えば、トヨタ自動車の基本理念の一つに、「グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長を目指す。」とあります。なんか抽象的すぎてイメージが湧かない。一方、グーグルの経営理念は、10の発見という形で表現されているが、どれも万人に容易に理解できる形に具体化された記述になっている。そのうちのひとつに、「スーツがなくても真剣に仕事はできる。」というものがあるが、そんなことを真面目に10の基本理念のひとつに掲げてしまうのである。もしあなたがいずれかの会社の従業員だったとすると、どっちの会社の理念に対して、具体的なイメージがわき、共感を覚えるだろう?答えは明白である。考えは、より具体的に表現されればされるほど、より人を刺激する力がでてくる。さらに面白いことにその具体化のレベルは各人によって異なる。そのため、適切な、(もしくは話し相手によって異なる)具体性のあるコミュニケーションはその会話の中でよりお互いを刺激することになるのである。具体化は間違いなく、私たちの想像力を刺激し、よいアイデアを生み出す秘訣に違いない。