ビジネス・実用書を中心に古典、新刊問わず読み漁る中、久々に思わず感謝したくなるほどの殿堂入りの本に巡り合えました。
過去3000人を超える著名人、成功者の方々にインタビューを行い裏方として数々のベストセラーを世に送り出してきた職業ライターの上阪徹さん(代表作「プロ論。」シリーズ)の本です。今回は自らを表舞台に立たせた、「“自分の考え”を“自分の言葉”で構成した初めての本」です。
この本、そのタイトルには収まりきらない程、多くの示唆に富んでいます。一見するとそのタイトルから限定されてしまうかもしれない一定の読者層だけでは非常にもったいない程、様々な方に読んで頂ければと思い、紹介させて頂きます。
この本をぜひ読んでほしい人:
・ 文章を書くことを生業にしている人はもちろん、趣味でブログやメルマガ、ホームページを書いている人
・ 仕事としてインタビューや取材を行う人はもちろん、普段自分のコミュニケーションに一方通行を感じていて聞き上手になりたいと思う人
・ プロと認められる為に努力をしようとしている人はもちろん、社会人経験もそこそこ、仕事に慣れてきて行き詰まりを感じ始めている人
第1章から3章までは文章の心得、第4、5章はインタビュー(広義での聞き方)の心得、第6、7章は上阪さん本人のプロとしての仕事論という構成です。
本書の一番の良いところは、文章の書き方を題材としてその心得を丁寧、平易に自身の経験に基づいて説明してくれている点です。題材はあくまで彼の専門である文章の書き方についてですが、丁寧に簡単にかかれている為、その主旨は普遍化され、読み手に様々な示唆を与えてくれます。
本書中盤、インタビューの心得の部分などは一見仕事柄取材やインタビューに関わりの無い人にとっては、「私には関係ない」と読み飛ばされてしまいがちですが、そこはさすが職業文章家!その丁寧で易しい語り口により、そこで述べられていることがそのまま、例えば採用面接を行う際の心得として読み替えることができ、非常に多くのことを再確認させてもらいました。
貴重な時間を割いて弊社に面接に来て頂いていることへの感謝。それを体現するにふさわしい身だしなみ。面会者への事前調査と質問の準備。どうしても会話が途切れるときの対処法等。私自身仕事柄、インタビューも行うので直接的にも学びは大きかったのですが、簡単に書かれている故に、インタビューに留まらずその意味するところが読み進める中でどんどん膨らんでいくのがとても刺激的で、爽快にすら感じました。「採用面接にも当てはまるな」とか「そのまま提案営業にも当てはまるな」とか読む間に溢出効果の快感を覚えました。
名著とは、その書かれ方いかんで、読む時によっても読む人によっても、様々な解釈を許し、違った学びを与えてくれるカメレオンのような本の事なのでしょう、きっと。この歳でそんな殿堂入りの本書に出会えたことに感謝をしたいと思います。
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