September 4, 2011

格安スマホ・デビュー (2)

[Day2:Androidスマホをゲット、テスト、そして考える]

携帯契約する上で本来の順番とは逆となってしまいましたが、先日SIMカードをゲットしました。次に必要なのは、もちろんスマートフォン本体です。ちょうど機を同じくして、以前から狙っていたSony Ericssonの新製品が発売されたこともあり、実機を見に早速店頭に行ってきました。機能こそコミコミでないもののコンパクトでスタイリッシュな本体に一目ぼれ、その場で購入を即決。

Xperia ray 本体購入価格:41600円にてお買い上げ!

早速ネットへの接続です。手持ちのb-mobile SIMを購入したての本体に差し込み、本体の設定(APN設定を作製)をするだけで、即座に3Gデータ通信ができました。


[回線速度に関して]

この980/月プラン、ここまで安いのは回線通信速度が「上下100kbps」という理由からです。その一番の肝となる通信速度について、1)スペック比較、2)測定アプリによる計測、3)不快度数、といった点から検証してみます。
(以下の評価は、基本3Gデータ通信に対するもので、Wi-Fi通信ではないことは、念のため。)


1)スペック比較

数字だけだと、ぱっとイメージがわかない人も多いのではないでしょうか。スマホの代名詞となっているiphoneのキャリア、ソフトバンクが一部対応地域に提供している3Gハイスピードのスペック上の回線通信速度は、下り7.2Mbps/上り5.7Mbps*3Gハイスピード:ソフトバンク)となっています。つまり、スペックの数字ベースで単純に比較するなら、ソフトバンクの方が(データをダウンロードする)下りは72倍スピードが速いということになります。

(*この数字あくまで、ごく限られた一部地域限定の最大値であり、現実的には県庁所在地および主要都市などにおいては下り3.6Mbpsとのこと。また一部書き込みによれば、実測値はかなり下回る場合もあるとのこと)


2)測定アプリによる計測

スペック上の数値はあくまで、好条件がそろった場合のキャリアの主張する通信速度ということで、実際にはどのくらいの速度が出ているのか計測アプリ(Speedtest.net Speed Test)で測ってみた結果が上図になります。

(測定条件:20119月上旬、東京都世田谷区、夕方、 注:条件によって結果も多少変わります)

下りの3G通信では、ベストエフォート値にかなり近い97kbpsのスピードが出ていました。ちなみに右の図はWi-Fi(光)での計測結果です。3Gと比べると下りで約180倍、上りで約100倍のスピード差という結果でした。


3)不快度数

スペック、実測値、などなど、いろんな指標はあるものの、結局重要なのは、「スマホでウェブを利用していて不快に感じるのかどうか」という一点に尽きます。

快・不快は主観的な感覚なので、忍耐強い人とせっかちな人とでは、当然不快かどうかの許容範囲は変わってきます。また、あまり動画サイトなどは利用せずメールが主体のライトユーザーと、ばりばりリッチコンテンツを利用するヘビーユーザーとでは、その不快許容範囲はもちろん異なります。

それらを踏まえ、ここでは、それぞれのアプリやサイトが完全に開くまでどの位の時間がかかるのか、その時間は私にとってどの程度不快に感じるのかどうか、という点を評価してみました。あくまで主観的ですのでご了承を。(テスト条件は上記と同じです)

-----不快度指数-----
☆☆☆:サクサク、全くタイムラグを感じない
  ☆☆:やや時間がかかるものの不快とは感じない
   ☆:かなり時間がかかり不快と感じる
(☆なし):不快を超えて、時間がかかり過ぎ利用できない
-------------------------

1.ケータイYahooトップページの閲覧 
不快度指数:☆☆
表示までの時間:
35秒(キャッシュなし:初めてページを閲覧した場合)
27秒(キャッシュあり:ページを再訪した場合)

上記の約2/3程度の秒数でページ上部の情報はほとんど表示されるので、読み始められるし、途中でクリックで違うページにとぶこともできる。


2.グーグル・マップの閲覧(アプリでなくブラウザ経由) 
不快度指数:☆☆
表示までの時間:
3分(キャッシュなし)
10秒(キャッシュあり)
「皇居」を検索 約40

初めての閲覧はとにかく時間がかかる。一度出しているマップであれば早かった。ただし、スクロール、拡大させようとすると滑らかというわけにはいかず、読み込みに時間のカチカチ感あり。

ちなみにアプリのGoogleマップはというと、
不快度指数:☆☆☆
表示までの時間:
既に開いた事のある地図であれば、瞬時に表示。初めての場所でも、全表示まで約35秒。一度表示されれば、ブラウザ版とは異なり、滑らかにスクロール、拡大縮小も可能。


3.You Tubeの動画再生 
不快度指数:(☆なし)
表示までの時間:
50秒で始まるも、30秒止まっては5秒再生が繰り返される。。開くのはいいけど、もはや動画ではなく、超スロースライドショーといった感じで、観るに耐えるレベルではありませんでした。



結果、3Gデータ通信についてはアプリのグーグルマップの閲覧程度であれば、それほど不快感を感じず、十分利用できる印象でした。その他、ツイッターやフェイスブックといったテキスト中心のアプリなどであれば最初のアップデートに数秒~10秒程度かかるものの、ページ間の移動も比較的スムーズでストレスは感じませんでした。ただし、よりヘビーな動画再生になると上記のように読み込みにかなりの時間がかかる為、この通信プランでは使えないという結果でした。
(ただし、ブログの書きこみ等によればYou Tube3大キャリアの提供するネットワークでも途中で止まるという話もあるので、現状動画ストリーミングについてはWi-Fiで見るのが無難というのは変わらないのかもしれないです。)


[b-mobile SIMプランについて、その他もろもろ]

その他知っておきたい、このプランの特徴について:

・ 同じプランのまま、追加料金なしで、テザリング(スマホの無線LAN・USB機能を利用して、他のパソコンやゲーム機器をインターネットに接続できる機能)が可能

・ ドコモのFOMAネットワークを使用する為、比較的カバーエリアは広範囲

・ b-mobile SIMプランA100kbps)は初期手数料3150円がかかる分、契約期間の縛りや解約手数料は無し。契約してみて、トロい、モサっとしてて使えないと思ったら、手数料なしで簡単に解約できます。
(解約せずにその上のプランB400kbps 2980円)やプランCMbpsクラス 4980円)にアップグレードも容易にできます)

・ ただし、特に利用の多いユーザーには通信速度の制限がかかる
(直近3日間の通信量の合計が300万パケット(360MB相当)以上、または1ヶ月間の通信量の合計が1000万パケット(1.2GB相当)以上)


(ひと月1000円未満という破格の値段だから制限されて仕方がないというわけではなく、きちんとヘビーユーザーを制限することで、受益者間で不公平が生じない為にも必要なルールです。「利用者の2%がデータ通信量の4割を占める」とソフトバンク孫社長をも困らせる、このヘビーユーザー問題。各キャリアも帯域制限によってようやく対応し始めたといった状況です。(Gigazine2011年版帯域制限))



[総費用比較]


このように、速度が遅いという欠点をもったこのb-mobileプラン。では、その長所である格安通信料がどの程度の恩恵をもたらすのか、ここでは2つのケースの比較から、それぞれ2年と5年の総支出は幾ら程度になるのか考えてみましょう。

既存(この場合ドコモ)の携帯をしばらくの間使用している人が、その電話は音声通話専用として持ちづつけ、加えてデータ通信専用端末として本b-mobile プランA (100kbps) 2台目に持つ場合。

もう一方はそのガラケーを止め、ソフトバンクのiphoneに機種変更する(iphoneでこれまで通りの音声通話量を行い、加えてデータ通信もする)場合。


結果はというと、2台持ちの方は、月当たりの支払いはかなりやすく、初期の本体購入代金の分割合算分を加味してもiphone1台持ちより5.7万円の得という結果になる。

さらに、2年を超えて使う場合は、その総費用差はさらに大きくなり、5年後で192万円の差となる。iphoneのほうは最初の2年で、本体の分割支払い金2400/月がなくなるが、同時に月々割の-1920/月が受けられなくなることで、2年以降の月の支払額も以前とさほど変わらないことから、ずっと7000円以上を払い続けることになる。

(同期間の月々割で本体の賦払金を相殺させることで、賦払い終了後もあたかも月の支払額があまり変わっていないように見せることで、相当数の顧客を繋ぎ止めることが出来ると思われる。。)


【まとめ】

ビジネスユース、企業マーケティング、などなど、急速に繁殖する高機能携帯電話「スマートフォン」。産業界、メディアがこぞって取り上げ、街の中学生・おばあちゃんまでもがタッチパネルをピンチする光景が日常茶飯事になりました。

とはいえ、ほとんどの一般ユーザーはそれを何に使っているかと言えば、ゲームだったり、SNS(友達との繋がりサイト)だったり、マンガを読んだり、ウォークマン的に音楽を聞いたりというような、お遊び目的が殆どではないでしょうか!?
テレビ視聴時間の低迷、既存の(昔ながらのTV/ポータブル)ゲーム機市場の縮小や紙媒体の本の売上減少などは、他でもなく「携帯遊び」がこれだけ拡大しているからにほかなりません。

そんなあくまで「遊び道具」であるスマホで、無体無形の情報をやり取りするだけで毎月8000円近くも口座から自動引き落としされていくのは、もったいないと思ってしまうのは私だけでしょうか!?

よく聞かれるのが、「皆がそれくらい払っているのだから、それくらい払うのは仕方がない。」という意見。
海外に目を向ければ、定額データ通信にここまで料金を払っているのは世界でもカナダと日本だけというデータもあります。(International Wireless Data, SMS & Voice Calls cost comparison by India Business Blog Trak.in) 

また別の人はこう言います。「毎月口座から自動引き落としなので、携帯代はあまり気にしていない。」
携帯代は毎月必ず発生する重要な固定費の一つ。日々のスーパーの特売での数十円の節約や、つまらない2-3%のポイント還元を追い求めるエネルギーがあったら、より大きな携帯代という固定費をどう抑えるかに知恵を絞った方がよほど実入りは大きいのではないでしょうか。

今後長期化が予想されるデフレの時代、オリゴポリーのメガキャリアの思うつぼになっちゃいけないのでは、と思うのです。健全な消費者主導市場の実現の為だけでなく、努力して稼いだお金に対する感覚を研ぎ澄まし、健全なお金の使い方を身につける為にも、スマホ・デビューと、勢い勇んで街の携帯販売店に駆け込む前に、今一度、大切なお金とそこから得られる自分にとっての本当の価値とは何かに考えを巡らせる必要もあるかもしれません。

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