あえて極端な演出を控えているのは、そもそも幼児向けを狙って作られた映画だからだろうか?それとも、まだ技法的に擦れてない90年代中東映画の単純に素朴さの表れだろうか?映画を観ながら、制作の意図を勘ぐるそんな自分に気付くと、ふと嫌気がさす。「こんな純朴な映画なんだから、何も考えずに楽しめばいいじゃない」と。
映画後半ストーリーが動くと共に、そんな邪念がかき消されるように物語に入り込んでいきました。作品を貫く兄妹愛の象徴としての靴、彼らを陰から見守るようにわずかに登場する赤い金魚達。くすんだイランの貧困生活が描かれる作品中、唯一登場する二つの鮮やかな色。靴と金魚。それは、子供の心眼に見た、愛の色だったのでしょう、きっと。
映画のラストカットをそんな赤色で締めくくってくれた編集のバランス感覚には脱帽、感謝でした。
運動靴と赤い金魚
(英語名:Children of Heaven)
1997年 イラン
監督:マジッド・マジディ
出演:ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ
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