March 3, 2012

人口津波注意報!?


デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) 藻谷浩介

本書あとがきより:
「経済を動かしているのは、景気の波などではなくて人口の波、
つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ」。
この本の要旨を一言でいえばそういうことになりましょう。

ここに本書でも引用されている国立社会保障・人口問題研究所による、
これからの日本を考える上で、目をそむける事のできないデータがあります。


(出典:国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集による日本の将来推計人口)

情けない国会答弁、
本丸に切り込めない税制改革、
一向に改善をみない出産育児環境整備。

ここでは、何らの抜本的対策が打てなかった場合、
日本の生産年齢人口(グラフ中では15-64歳の赤の部分)、
つまり現役世代の頭数は上図の推計が示す通り、
今後減っていくことが予想されます。

それをふまえた上で、
「人口の波のあおりを少しでも軽減する為に個人が出来る事とは何か?」
について、一個人投資家として本書を読むことでいろいろと考させられました。

影響その①:企業
最も消費が盛んな現役世代が減ることにより、内需が縮小。
供給調整が働かないと、ものがダブつき、価格が下落。
→内需にしがみつく内弁慶型企業の先行きは暗い。(日本株投資するなら海外で稼ぐ外需型の企業)

影響その②:不動産
団塊の世代がこぞって持ち家を夢見たかつての住宅市況は今は昔。
ほんの一部の人気エリアを除いて、不動産需要は縮小する一方。
→長期的には日本の住宅市場は収縮。(不動産に資産価値を見出してはいけない)

影響その③:自助努力
税収の減少。抜本的改革なき場合、
近く国の借金は日本の個人金融資産総額を超える。
日本国、円の信用収縮。
→国の社会保障(年金、保険)にもはや頼れない。(自分年金、自分医療積立が必要。また、資産の海外分散がより重要になる)

影響その④:海外投資
人口の波理論が日本だけでなく、世界に当てはまる普遍的なものであるとするならば、
→今後生産年齢人口が増えるであろう国に投資する。(アフリカ、中東、オセアニア、南米への投資を検討する)


(出典:List of countries by population growth rate、黄色になるほど人口増加率は高い)


影響その⑤:自己投資
現役世代の減少により、働き手・消費者ともに減少。
企業の淘汰がより進む。
→モノ・サービスの需給が縮小することで、
金融商品への投資よりも、自分への投資の方が効果的かもしれない。
人的資本への投資効率が、物的資本へのそれを上回るかも。つまり若いうちにたくさん学ぼう。自己投資のリターンは測れないので、実感に乏しいとは思うが。。


想定が悲観的なので、日本人として半ば非国民的な後ろめたさもあります。
ただ、背に腹はかえられません。
それくらい、このグラフが示すこれからの時代というのは
日本にとって受難の道です。

長期で資産運用を考える一個人投資家にとって、
非常に考えさせられる一冊でした。

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) 藻谷浩介

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