December 31, 2020

燕三条 Tsubame-Sanjo:A city of Japanese metalwork craftsmanship

なぜこの新潟のほぼ中央、燕三条に世界有数の金属加工の街が発達したのか?

それは時代と共に産業のカタチを柔軟に変えてきた歴史がありました。

信濃川とその支流五十嵐川が合流するこの地域には洪水が頻発していました。安定した農業が営めないこの土地に、江戸時代、和釘製造が副業として推奨され、根付きました。やがて越後で新田開発が盛んになると、その技術は農業器具の製造へと発展。さらに、大工道具や包丁などの刃物鍛治、鎚起銅器などの加工業に派生していきました。大正時代には洋食の普及と共にその技術は洋食器の製造に活かされました。時が経つこと現代、Appleに見いだされipodの鏡面加工を請け負ったことで世界的に有名になり、現代に至るまで変化を止むことなく産業のカタチをアップデートしている街、それが燕三条なのです。

これといって何もない新幹線駅

洪水、治水とともに歩んだ街

日本のモノづくりを体感できる産業観光、一泊二日旅です。

須和田製作所

<世界に誇る爪切りブランド>

燕三条の駅からだいぶ離れた田んぼの真ん中に突如現れる漆黒の近代建築
エントランスは美術館のよう
釘の頭を落とす大工道具「喰切」に端を発し、美のために爪を落とす道具へと進化
黒一色のオープンファクトリーは年中見学可能
このSUWADAコンテナボックス↓お土産屋で買えちゃう
若い人、女性の技術者も数多く働いていました
なんと、社員食堂!工場の概念を覆すおしゃれさ
全面ガラス越しに見える緑が綺麗なファクトリーショップ

薄暗い、油汚れの工場のイメージを一掃するモダンな環境が、多くの若手を惹きつけ、その土地の産業をこうして後世に繋いでいくんだな、と実感しました。

玉川堂

<無形文化財、
鎚起銅器の祖>

お茶屋でもお香やでもない、銅器工場とは思えないこの趣
銅を叩く甲高い音が玄関まで響き渡ります
工場というよりは工房と呼ぶにふさわしい創作現場をお姉さんが製造工程の説明と共に案内してくれました
一枚の銅の板から形作られる湯沸
畳工房のすぐ横にある火炉
木、畳、銅の深い茶色が一体となる空間
戦時中は兵器工場だったという天井の高い着色部屋
見学後、お茶を入れて頂きました。展示販売されている作品はとても子どもに触れさせられないような代物でした

燕市産業資料館

<金属加工の歴史を学び体験できる美術館工房>

ついさっき見学したばかりの玉川堂の人間国宝 玉川宣夫の作品をここでも見られるとは
色彩の異なる金属を何十枚も重ねた金属塊を叩くことで木目のような模様を生み出す「木目金」
工房併設、金属加工を体験できる場
沢山のプログラムがあり、自由研究にもってこい
チタン製スプーンの酸化発色体験。時間に忠実にゆっくり引き上げると、
綺麗なレインボーカラーに。楽しくて4本も作っちゃいました
資料館なので、燕三条がその歴史と共に産業を柔軟に変化させていった様子も学ぶことができます

藤次郎

<切れ味の先を追及する包丁屋>

2017年竣工、2019年拡大リニューアルしたばかりの刃物のようにピカピカの工場
土曜日だったので、量産品の工場部分は未稼働、職人が手仕事で作るハンドメイド品のアトリエ部分を見学
数人しかいない静かなアトリエで作品と向き合う職人さん
そんな最中、作業中の手を休め、タガネとハンマーで銘を彫り込んだキーホルダーを作ってくれました
併設されたショールームでは販売も行っていて、海外の友人へのお土産として一丁いただきました



Snow Peak Headquarters

<野遊びによる人間性回復の本拠地>

この旅のもう一つの大きな目的はスノーピークの本社を訪れることでした。ユーザー目線のモノづくりを突き詰めた結果、キャンプ場に本社を作っちゃった会社。
燕三条の駅から40分も車を走らせないと到着しないのどかな丘陵にそびえたつ社屋で行われた感謝祭に行ってきました。
ゆいいつ会社っぽさが感じられる受付も今日は閉店モード
普段は値引きをしない商品もアウトレットでお買い得
抽選でのアウトレット品セールは破格の値段。残念ながら当たりませんでした。。
天気にも恵まれ、屋外にもたくさんのお店が並び、自社のアウトドアセットで寛ぎのひととき
さすが米どころ、久保田とのタイアップ日本酒も販売
祭なのでたくさんのキャンパー達がフィールドに。しかし、見渡す限りスノーピークのテント&タープ!2021年はキャンプフィールドの規模を3倍に拡大予定
野外ではテントの設営講習会
日本のアウトドアの歴史を垣間見ることができるミュージアム
和釘をその源流とする質実剛健という言葉がピッタリのペグ「ソリッドステーク」。歴史に磨かれた技術がブランドの根底に流れる

燕三条地場産業振興センター

<燕三条のあらゆる製品が揃う観光物産館>

旅も終盤、燕三条駅近くに戻り街のショールーム、物産館を訪れました
これまで見てきた製造メーカーの品々が展示されていました
実演や体験会などの催しも
物産コーナーには地場の特産品が勢ぞろい。お土産だけならここで全て揃っちゃう

今回の旅の戦利品

欲しかったスノーピーク ローチェアーの黒!まだキャンプデビューできてないけど、既に家のリビングで大活躍
雪峰祭限定の久保田の純米大吟醸と記念品もゲット

煮干し出汁が効いたスープに背油、玉ねぎが浮いた燕のご当地ラーメンもとっても美味しかったです!