December 26, 2010

合法の極楽浄土~全裸・混浴ドイツ・スパ初体験~!!

先週は年末恒例の職場の全社会議兼、ホリデイ・パーティーということで、ドイツは旧西ドイツの首都ボンに行ってきました。そのパーティーの席でのこと。現地でのあまりの寒さから、「温泉にでも入りたいねー。」などとドイツ人の同僚と話をしていたところ、有力情報をゲット!なんと、隣街のケルンに温泉があると言うではないですか!!単なる温かいお湯ではなく、天然の温泉が湧いているという話。温泉フリークとしては、行かずして、帰らざるべからず!ということで、長い旅と会議の疲れを癒すべくリラックス感覚で一路その温泉に向かいました。ところがそこでは、リラックスはおろか、数々の温泉を経験してきた私の想像をも遥かに凌駕する未知の世界が待っていたのでした!!

その施設の名はClaudius Therme(クラウディウス・テルメ)。ドイツはケルン中央駅からタクシーに乗ること約20分。広大なラインパーク公園の北の一角にその広大なスパ・サウナ施設はあります。ベルギッシュランド地方およびライン川中域の火山活動などその特異な地理的条件から、ここオーデコロン(ケルンの水の意)発祥の地でもあるケルンの街に豊かな源泉が湧き出ています。

とりわけ海外、特にヨーロッパでの温泉は初めてでした。右も左も分からないまま、楽しみ半分心配半分、とにかく入館です。受付の係の人に、「とにかく初めてなので、何も分からない。手ぶらで何も持って来ていない。」と伝えました。すると、館内での飲食の清算に使用するリストバンドを渡され、タオル、バスローブ、水着の3点セットをレンタル。水着ももれなくついてくるということは、「水着着用必須なんだな」と。ふむふむ、ここまでは慣れた手順といったところ。


受付のすぐ隣にあるプールの更衣室のような、ブースで着替えました。まずは1階のプール・ジャグジーエリアに行きました。老若男女、シングル・カップル、年齢性別を問わず様々な人が、ジャグジーにつかったり、流れるプールで戯れたり・泳いだりとそれぞれに豊かな泉を楽しんでいました。その1階エリアを一通り巡回した後、係員に話を聞くと、「2階にはサウナがあるよ」ということで、道中冷えた体を温めに、上の階に行ってみることに。

階段を上がるとそこには、大きなステンレス製の扉が、まるでその奥のエリアと外界を遮断するかのように大きく立ちはだかっていました。“何かが”ありそうな雰囲気を感じつつその重い扉を開きます。そこは仕切りで区切られた小空間になっていて、周りには小物がおける棚が備え付けてあり、壁には衣類などをかける為と思われるフックがいくつも張り付いていました。「第2の更衣室!?」と感じつつも、分からぬままとりあえずその小空間を抜けました。そこにはなんと、未だ人生で見たことのない、信じがたい光景が眼前に広がったのでした!


プールで戯れる全裸の男女。仲良く裸でジャグジーにつかるカップル。シャワーでクールダウンさせているサウナで発汗した裸体。

物語の世界でしか出会ったことのない、桃源郷の世界が、アダムとイブの世界が、現実の光景として私の眼前に広がっている、その事実。呆然と立ちすくむこと、(決して大げさでなく、感覚的に約)3分。ようやく意識が戻ってくるとともに、水着を着てそこに存在する自分に、逆に恥ずかしさすら感じ始めました。そこで、さっきの第2の更衣室に再び戻り、私も「郷に従う」ことに。水着を脱ぎ捨てるも、捨てきれない羞恥心がバスローブ一枚を纏わせたものの、再びいざ突入。

そこでは、人間を性により分け隔てることはなく、まるで、身にまとった外界の全てを取り除き、真にリラックスした姿で寛ぐ人々。ベンチに身体をあずけて寝そべる者。傍らの足湯で寛ぐ者。バブル・ジャグジーで暖をとる者。最初、あっけにとられてしまった自分を恥ずるくらい、そこには性的な雰囲気など微塵もありません。男女ではなく、人類に近いそんな感覚。次第に目も脳も慣れ、「遠路はるばる来たのだから寛がなくっちゃ」と気持ちも切り替わり、お目当てのサウナに入ってみることに。

扉の内側のこのエリアには、その周囲にいくつもの異なる個室サウナがあります。日本で最もポピュラーなタイプの、階段状の80-90℃のフィンランドサウナ。また、円形タイル張りの、湿度100%40-50℃のスチームサウナ。変わりどころでは、一見日焼けマシーンのような、ベッド型の機械に横たわり、遠赤外線を浴びるタイプのサウナ(55℃、湿度60%)。別料金ですが、45分の垢すりのような、ボディー・ラビング。どれから入ろうか、迷ってしまうくらいのバラエティー。

とりあえず、広めで既に数人入室している低温サウナに入ってみることに。各サウナの扉の側には必ずフックがかかっていて、皆そこにタオルやバスローブを引っかけて行きます。私も、恥ずかしさとドキドキ感をバスローブと共にフックにかけ置き、いざ入室です。

そこには、既に気持ちよさそうに身体を保湿させた男女が数人、それぞれの体勢で寛いでいます。階段に腰掛けひたすら俯く者。タオルを一面に広げて、寝そべる者。そんな皆に共通しているのは、ドイツ人の気性でしょうか?それとも、真剣にサウナと対峙しているのか?中央の塔から流れ出る流水のせせらぎ以外は、皆、言葉一つ交わさず、静かに沈黙を保ちつつ汗を絞り出しています。初体験の私は、その常連たちのように易々とサウナの境地に至れるわけもありません。というのも、煩悩捨てきれず異性の存在がいやがおうにも気になってしまいます。異性と言っても、そこに佇んでいたのは、異性と呼ぶにはクエスチョンマーク(?)な、見た目50代の老女。敷きタオルの上に、男性の視線など跳ね返すかのように全てを包み隠すことなく、仰向けに寝そべり、目を閉じています。

私の入室前の淡い期待は見事に打ち砕かれ、「そりゃ、そんなもんだよな。若い人なんているはずないよな。」と期待を物語の世界に仕舞い込んだその瞬間!入室してくる二人のシルエットがサウナの扉越しに!

他の人の監視の視線を避けるかのように、私は、とっさ反射的に入口から目線を反らしました。しかし、人間の目とは驚異的です。コンマ何秒のその瞬間でさえ、二人の姿は確実に私の網膜にその像を残しました。サウナに入室してきた二人は、見た目、自分よりもはるかに年下と思われる、初々しさあふれるカップルでした。入室するや否や、彼の方は、「考える人」のように俯き加減で物静かに座るかと思えば、その彼女は、タオルを大きく広げ、近くの木枕を手繰り寄せ、仰向けに体を横たえました。もちろん、その体を覆い隠す、羞恥の心もタオルも何もありません。目のやり場に困ると思いつつ気付けば、私を除く周囲の皆はひたむきにリラクゼーションを追及して汗をかくことに集中しています。その若いカップルも、言葉は一言も交わさず、それぞれ思い思いの体勢で、自らの新陳代謝促進に集中です。初めは視線が泳ぎ、どうして裸の男女が言葉も発することなくこのせまい箱に籠っているのか理解しようと考えを巡らせたのですが、答えなど浮かぶわけもありません。答えを待つより先に、次第に目が、脳が慣れてきたのか、だんだん目の前の光景を事実として受け入れられるようになってきました。恥ずかしさから誘発される汗から、純粋にサウナの熱により誘発される汗へと、次第に変わっていくのでした。

そんな、衝撃的サウナ体験でのぼせた頭を冷やすべく、そのサウナエリアに併設するように、レストランとバーカウンターが併設されています。さすがそのダイニングエリアでは全裸と言う人はさすがにいませんでしたが、デトックス後、バスローブを纏う者、下半身だけタオルを巻く紳士、など、各々思い思いのスタイルで、ドイツ料理とドイツビールを堪能していました。私も、地元のドイツビール12.5ユーロを注文。発汗後の開ききった毛穴に浸みこませるように、ビールを一気に流し込みました。「ぷは~。」

この広大な施設。館内だけでなく、館外にも10種類以上の趣の異なる、離れのロッジのようなサウナや、レストラン施設があり一日中いても全てのサウナを回り切れない程の充実度です。私もできるだけ見て回りたかったのですが、一歩外に出ると氷点下の空気で凍った地面に一分と足裏が持たず、離れまでたどり着くことすらできませんでした。。よく見ると皆サンダルを履いていました。サンダル、忘れずに持参するか、受付でレンタルしましょう。澄んだ空気の冬の夜、外庭からはライン川の対岸に、ライトアップされ黄色く輝くケルン大聖堂の2つの尖塔が、湯けむりの中、綺麗に夜空に浮かび上がっていました。


料金は週末で、2時間、4時間、1日、それぞれ、16.5022.5029.50ユーロと日本の高級ラインの日帰り温泉が約3000円であることを考えると、ほぼ同等レベル。(料金的にも施設の充実度的にも、1日ゆっくりした方がお得ですね♪)館内の食事はメインディッシュで約15ユーロといったところなので、やや高めな気もするのですが、きちんと調理され、フォークとナイフで頂く食事がサーブされるという点と、アルコール類の安さから補って余るコストパフォーマンスです。

温泉好きを自称していることもあって、数々の温泉、スパ施設をこれまで経験してきました。しかし、ここまで異文化体験を感じることができた温泉に出会ったことはありませんでした。拙文のあまり、その新鮮な驚きがどの程度お伝えできたか分かりませんが、「百聞は一見に如かず!」ドイツ(ケルン以外にも、ドイツにはバーデンバーデンという有名な温泉街もありますよ!)に足を運ぶ機会があったら、ぜひ温泉の超文化を自ら体験してみてはいかがでしょうか!

参考:
ドイツ観光案内ガイドブック

Those Crazy Germans!: A Lighthearted Guide to Germany
[ドイツスパ事情についての本(特に日本語書籍)はほとんど出版されていない中、
ドイツのスパ・サウナ文化からそこでの立ち居振る舞いについてまで
詳細に解説された稀有なガイドブック(洋書)。
2008年出版ですが、現代においても普遍的なドイツ文化を垣間見ることができ、
読み物としても面白く、ドイツ・スパ初挑戦の前にぜひ一読をお薦めします。]

Claudius Therme Facebook Photos
[館内もちろん写真撮影禁止でしたので、雰囲気はこちらから]

超異文化スパ体験。ドイツ式サウナパラダイス マナー講座
[日本でも情報がほとんどない中、日本人視点で、ドイツスパのマナーや、ケルン郊外のその他のスパも紹介して下さっています]

4 comments:

  1. サウナが全裸で混浴とは驚きですね!!
    裸でお風呂の文化は日本だけだと思ってましたが、
    ヨーロッパにもあったとは!
    チャンスが、あったらぜひ私もトライしてみたいです。

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  2. なおさん、
    お風呂文化においては日本が最もオープンだと思っていたのは、まったくもって井の中の蛙でした。
    今では信じがたいものの、江戸時代では日本でも混浴が当たり前だったそうですよ!
    今の時代に復活しないですかね!?(笑)

    参考までに:
    『江戸浮世風呂』江戸の湯屋
    http://www5.ocn.ne.jp/~ukiyo26/yuya1.html
    (美しい浮世絵と共に、非常に詳細に古き良き日本のお風呂文化を説明下さっています)

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  3. Glad that you enjoyed the Spa experience! Hope to see you again at this year's world meeting!

    All the best,
    Stephan

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  4. Hi Stephan,
    Thanks for visiting my blog and leaving a comment!
    Without your recommendation, I couldn't get out of the hotel in such a snowy weather, visit the spa and have an eye-opening experience there!!
    Yes, definitely I cannot wait the end of this year for the next world meeting! :D

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