April 3, 2011

【MBAの歩き方】 4.MBA出願・会社準備

ここまでの段階を経て、
「どうしてMBA留学なのか?」
「どのMBAプログラムが、その目標達成の為に適しているのか?」
「今の会社を続けての社費留学か、辞めての自費留学か?」
に対する答えが固まってきたら、具体的にMBA留学への準備を始めましょう。

多くの志願者の方は仕事の傍ら準備を進めて行くことになるため、予定するMBA始業時期から余裕を持って逆算したスケジュールを組みましょう。出願関連の準備と会社関連の準備を同時進行で進めることになります。最もシンプルと思われる、志願先を1校に絞り込んだ自費留学という私の場合、準備に要した期間は約12カ月間でした。(例えば、社費留学を狙う場合、会社によっては選考試験・面接を課す場合など別途準備が必要になってくる為、より準備に時間がかかることもあります。)

MBA留学の出願プロセスにおいて、一般的な日本の大学入試などとは根本的に異なる、最も重要なポイントがあります。それは、必要書類、スコア一式が揃うのを待たずに、とにかく「まずは出願する」ことです。とかく、日本人は日本の大学入試や役所での申請手続きなどを数多く経験していることから、不備のない完璧な情報を全て揃えて初めて提出可能になるものと考えがちです。しかしながら、MBAの出願はそのようなやり方とは全く異なるプロセスです。多くのMBAプログラムは、海外からの志願者に門戸を開くべく、オンライン形式での出願方法を採用しています。志望するプログラムへの出願が決まったら、なるべく早い段階でオンライン上で「まずは出願」してしまうのです。まだ全然、GMATの点数も出ていない、エッセイの構想も練ってすらいないなどと躊躇する必要はありません。ここでのオンライン出願は言わば、これから長期に及ぶ出願に関する様々な情報を保存する為のフォルダーを作るようなものととらえて下さい。

なぜMBAの出願プロセスがこうも異なるのでしょうか?MBAの選考は、大学受験ほど数の多いものでもありません。また、入学試験のように点数という画一的な物差しで、ある程度類似した人生経験を持つ志願者を効率的にふるいにかけるものでもありません。選考する側は志願者一人一人を点数だけでなく、エッセイに書かれた志望動機やこれまでの就業経験など、その人に関わる全ての情報を包括的に検討した上で、合否選考を行います。効率よく数をさばくというよりは一人一人志願者の中身を吟味する選考となります。本年度の全志願者全ての必要書類が揃うのを待って、それら全てを横並びにして、上から何人まで合格のオファーを出していくといった類のものではありません。画一的な基準が存在しないので、どれだけ選考委員の人に「この人に来てもらいたい」と印象付けられるかが最も重要になります。そのため、「2.MBAプログラム選択」の節で説明した、オープンキャンパスやMBAフェアなどを利用して事前に選考人となるであろうディレクター等と接触しておくことが非常に有効となります。実際に会い、名刺を交換し、面と向かって自己紹介、鋭い質問、熱意を伝えることで、その後の選考過程で他に一歩抜きんでることは間違いありません。(卒業生としてMBAフェアなどのお手伝いをさせて頂く機会がありますが、終了後ディレクターを交えその日頂いた名刺を広げながら、「この人はポテンシャルがあるな」などと、その場で必ず簡単なレビューを行うのです。)

話を戻すと、完璧に全て揃ってからいざ出願では遅いということです。まずはオンライン出願、がMBA留学準備の第一歩となります。

準備に要する時間や手間も、人それぞれです。社内選考を課せられた企業派遣での留学の場合、出願したいプログラムが複数ある場合、志願するプログラムの要求する試験成績(GMATTOEFLスコア)と現状とに開きがある場合など、準備に要する時間はケースバイケースです。
以下は、私の場合(会社を辞め、自費で留学をした場合)の準備スケジュールについてご説明します。


TOEFLGMAT勉強
MBA準備の中で、最も時間と労力をとられるのがこれらの試験対策ではないでしょうか。プログラムによってそのウェートや選考の際の位置づけも多少異なりますが、私の意見では、プログラムが要求する最低スコアをクリアできればそれで良しとしましょう。TOEFLはとりわけ英語でのMBAの授業に耐えうるだけの英語力は最低限証明して下さいという為だけの指標で、このスコアがいくら良くても、他の部分で見劣りする場合は合格は難しいでしょう。GMATについては、最低限のスコアが設定されている場合はそれをクリアすることを目標に、勉強と受験タイミングの計画を練りましょう。 GMAT対策として私が行った幾つかの勉強方法は以下の通りです。

GMATの主催団体が唯一発行する公式問題集。言わば、GMATの赤本。とにかくこれをまず隅から隅までやり、問題の傾向をつかみました。現時点で12版が最新版のようです。

・予備校(アゴス・ジャパン:旧プリンストンレビュー)
費用がかかりますが、週の決まった曜日、時間にクラスで受講するので、仕事との両立でもモチベーションが上がります。カリスマ的GMAT講師の行う授業は端的・明快で秀逸。短期でスコアメイクが必要な場合は特に有効でしょう。(他にも、イフ外語学院アフィアンスなど様々な授業があるので、自分にあったロケーション、期間、費用のコースを選びましょう)

800SCORE.com(オンラインでダウンロードできる模擬試験)
2600円で5回分の本番そっくりのGMAT模擬試験がダウンロードできます。コストパフォーマンスにも優れ、本番前に試験の時間配分、画面のインターフェイスに慣れるには最適の教材です。

②エッセイ準備
エッセイに関しては、主張、説得力のある内容力と、それを適切な英語で明確に伝える文章力の両方が求められます。書く内容については、これまでの第一節、二節と順を追って、きちんと骨太の志望動機を考えここまで準備を進めてきていれば、自ずとエッセイの主旨は固まっているはずです。問題は、後者の英語の文章力の問題です。母国語である日本語も例外ではなく、どの言語においても文章力は一朝一夕に身につくほど簡単なものではありません。もし、自分の文章力に全く自信がなければ他人の協力を仰ぐのもひとつの手です。しかし、プロに添削依頼する場合も、注意点があります。あまりに洗練されすぎた英語に手直しされるのも、逆効果になる場合があるということです。先にも触れたように、選考はその人についての全ての情報を包括的に評価した上で、合否の結果が下されます。例えば、海外経験のない履歴の志願者がTOEFLGMATVarbal sectionのスコアが低めにもかかわらず、プロの協力を仰いで難解な語彙を完璧に駆使したエッセイを提出できたとしましょう。選考委員はもちろんエッセイだけでなく、全ての情報を元に評価をするので、エッセイを読むやいなや他人の手が入り自分の言葉で語っていないな、と見透かされてしまうでしょう。MBAプログラムの受講に遜色のない最低限の英語力を伴い、かつ自分の英語力から極端に飛躍することのない、身の丈に合った語り口のエッセイの方が説得力があることは間違いありません。文章技術にあまり固執せず、まずは説得力のある内容を固めることが大切です。

③推薦書依頼
推薦書は、お願いして書いてもらうものなので、志願者側に準備の負担を強いるものでもありません。しかし、以下のような場合は手間と時間を要する場合もあるので、余裕を持って手配を進めましょう。推薦人の方が英語が苦手な場合は、志願者自らが推薦書の草案を書くようにと言われる場合があります。また、推薦人が海外在住の場合は、連絡、送付に時間がかかることがあるので、推薦人にとっても負担とならない程度に締め切りに余裕を持って、比較的早い段階で依頼をしましょう。

④会社準備
会社準備については、私は企業派遣の留学ではなかったので、その詳しい準備や段取りについては分かりません。会社によって社内選抜プロセスや準備に要する期間などまちまちなので、担当部署や企業派遣でMBAを取得した先輩に尋ねましょう。会社を辞めての自費留学だった私が唯一行ったことと言えば、上司、人事部への報告でした。普通の転職の場合同様、直属の上司にまず報告、それからその上の部長。人事へと報告するのが基本となります。但し、推薦書を現職の上司に依頼する場合は、推薦書を依頼する段階で合格の際の出処進退も聞かれると思うので、社内的に妥当かどうか考慮し、報告の順番とタイミングを考える必要があります。私の場合、一番最初に直属の課長に、MBA留学の意向がある(MBAプログラムに合格したら退職も考えている)ことを伝えると同時に推薦書をお願いしました。MBA開始の時期から、有給消化期間、引き継ぎに要する期間を逆算した時期に退職願を出すべきですが、その時点で志願するプログラムから合格通知が来ているとは限りません。退職願が遅れて引き継ぎに支障が出ることがない為にも、出願締め切りギリギリではなく、まずは早めのオンライン出願。そして余裕をもって必要書類を提出し、スムーズに離職できるようにスケジュールを立てましょう。