February 12, 2012

本を贈りあえる仲


友人に本をプレゼントするのは難しいものである。
(ここでの友人とは、同じ趣味をきっかけとして知り合った友人等、
興味が局所的に一致する友人関係でなく、ふつーに知り合った友人)

「あの人にぜひこの本を読んで欲しい」という純粋な善意をして本をあげても、
読んでもらえなかったり、感想のキャッチボールが返ってこなかったり、
ということもめっぽう多い。
そんな時は結構がっかりするものである。
本をプレゼントすることは
「本の主旨に自分の太鼓判を押し、それを貰い手に強いる」行為である。
その“思想のプッシュ”が見事貰い手のツボにはまればいいが、
はまらない事の方が多い。
だから私自身、本を人にプレゼントしたことは今までもほとんどと言っていい程ない。
本をプレゼントしたことのある唯一の人と言えば、
そんな思いを込めた私のノーコントロールの投球も寛容に受けとめてくれる、
真に気の知れたキャッチャー(友人)くらいなものである。


そんな気兼ねの無いバッテリーを長年組むオーストラリア在住の友人から
を頂いた。

衝撃的さをあえて演出する奇をてらった予言や、
根拠の乏しい独自の理論など、突っ込みどころももちろんある。
しかし、日本人へのエールがつまった全編を読み終えるころには、
そんなつっこみたかった気持ちはある種の爽快な読後感に変わっていた。


興味を持ったいくつかのポイントについて:

[教育論]
(将来の不可避な少子高齢社会を踏まえて、)子供のことを考えるのであれば、もう日本には未来がないと、海外に移り住んでいく力を今から養っておくのがよい。(中略)どこでも生きられるような教育をすればよい。P103

逞しくも日本を出てオーストラリアで仕事をするその友人の姿が、重なる。

[会社論]
(会社の短命化を踏まえて、)「会社」のコンセプトがほぼ寿命を終えるのは、2024年頃。
P136

会社という「器」に囚われることのない働き方が主流になるのでは、という考えは昨今のノマドと流れを同じにする。12年後いきなり会社が消滅するというわけではなく、カセットが徐々にCDに置き換わったように、働く「器」にも製品ライフサイクルが存在し、その波がそれくらいのタイムスパンでおとづれるという主張。NPO、社会起業家なども次世代の「器」に当るのかも知れない。

[企業論]
定年後も働かなければならない時代、
会社という「器」が持続的でない時代、
再就職先を見つけるのが困難な時代、
40代になったらライフワーク(定年を持たず余生をかけて自ら熱中できる仕事)を始められる力を持つべき。起業もそのひとつ。(p233)


数々の教育プログラム(フォトリーディングやマインドマップ)の日本への啓蒙により
成功を収めたかのように見える著者であるが、
起業の失敗や癌との闘いの経験を通じた、
短視眼的な見方ではなく、
将来を、日本を、達観したアドバイスに満ちた本。

想像の範疇を出ないが、きっと友人は著者と同じそんな思いを、
このプレゼントに託して遠く南半球から届けてくれたのだろう。 
どうもありがとう!